この業界にいるとよく聞く「●●さんに自分のところを最優先してもらいたい話」についてです。
私もフリーランスですから、色んな企業の中の人ともお付き合いがあるので、やっぱりこの手の話は聞くわけです。私自身が食らうこともありますし、愚痴として聞かされることもあります。
なので、どうしてそういうことが起こるのかと、そうした問題の解決方法についての話です。
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私もフリーランスですから、色んな企業の中の人ともお付き合いがあるので、やっぱりこの手の話は聞くわけです。私自身が食らうこともありますし、愚痴として聞かされることもあります。
なので、どうしてそういうことが起こるのかと、そうした問題の解決方法についての話です。
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フリーランス=それで生活しているということを踏まえる
正社員や契約社員などとして社内で勤務している人間と同じように、フリーランスの場合は営業収入がお給料みたいなものです。 社員を雇った場合に彼らが自社の業務を最優先にして、副業などは余暇の範囲で行う形であるのは「給料や各種手当で生活を支えているから」です。
愛社精神があるからでも仕事が好きだからでもありません。もちろん中には愛社精神がある人や仕事が好きだからやっている人間がいることが否定しませんが、同じことを無給でやれと言われたらほとんど全員が断りますよね? それじゃ生きていけませんから。
つまり自社を最優先にして欲しいなら相手の生活の柱になるくらいの金額を出すこと、が一番手っ取り早い方法になります。
ゲーム業界は昔から不況だなんだと言われていて、私もずっとやっていますが全体の相場が上がっているなんて話はとんと聞きません。
もちろん、一時期の「副業でやっているような、それで生活する必要のない素人を雇って安く上げる方法」が破たんしてきたので、最低ラインは上がっているのかもしれませんが、仮にそれで少し改善されていたとしても、それは業界の報酬水準が上がったわけではありません。元に戻ったというだけです。
つまりはフリーランスの専業ライターとして食べていくためにはそれだけの分量の仕事を毎月受けないとならないということです。
私(30代女性/関東在住)が年相応の健康で文化的な生活を送ろうと思ったら、最低でも手取りで30万くらいは欲しいです。
※フリーランスの場合は会社員と違って保険も年金も全部自分が負担で、各種手当も一切ないため一般的に「会社員の3倍以上の収入が必要」とされています。ですので30万は結構少な目に見積もった方です。本音で言うなら60万くらいは欲しい
月当たりの報酬と作業量は見合っているのか?
一番の原因はこれです。
「●●円も払っているのにウチを一番に優先しないなんて!」 っていうやつ。
でもこれは金額の罠があるんですよねー…。
“その金額を払うのに、何カ月かけて仕事をさせる計算でやってますか?”ということと“その作業量にその報酬は適正ですか?”っていうことです。
これは本当にあった笑えない話なんですが、あるとき、とある会社から「月に20万くらいの収入になります!」とオファーがありました。2ヶ月で40万。
なるほど悪くないなと思って話を聞いてみたら、 1ヶ月に20万(源泉徴収が引かれるから実際に入るのは18万)で1.5MBのシナリオとスクリプトをやって2ヶ月で3MB書いてくれという話でした。
向こうの言い分としては「スクリプト込みで1.5MBなのでシナリオの分量はその半分くらいです」とのことですが、つまりそれってシナリオを1.5MB書かせてスクリプトもやらせるって話なわけで…。
確かに2ヶ月でやったら20万円/月ですが、どう考えても無理です。いや、やってやれなくはないですけど、他のことが何もできないくらいのボリュームになってしまう…。
社員でそれなら、福利厚生とかも色々あるでしょうし月に手取りが18万でもまあなんとか、ということなのはわかります。でも言いたいことはよくわかりますが、相場から言っても作業ボリュームから言っても無理なのでお断りしました。
だってシナリオ1.5MBって、1KBの単価500円※商業で聞いたことがある最低単価で受けたとしても75万です。1000円※一般的な相場単価で150万円ですよ。つまり相場の4分の1でスクリプトまでコミっていう…。
前述のとおり、専業ライターは取引で得た営業収入で生活しています。そんな金額で受けたら生活が破たんしてしまうのです。
ここまでじゃなくても、たとえば1KBの単価が500円で月に100KB書いてくださいっていう依頼があったとしたら、仮に受けたとしても最優先に作業するのは難しいのです。
私の基準で言うなら、その仕事の他に25万円分稼げる仕事を入れなくてはならないので、そちらの作業も順次やっていかなくてはならないからです。
つまり、そういうパターンで自社を最優先にして欲しい場合には30万のうちの出来るだけ多くを占められる単価を提示する、が一番簡単なやりかたです。
もちろん金がすべてではない
もちろん、仕事を受けるのや優先順位をつけるのはお金だけが基準ではありません。
相手との関係(普段どれだけ世話になっているか)とか、その仕事がステップアップにつながるかとか、内容が多少の悪条件でもやってみたいと思えるかどうかとか、色々な要因があります。
だからあらかじめ相手との人間関係を作っておくというのもやり方としてはあります。
普段から継続的に発注しておくとか、相手が飲むのが好きなら飲みにケーションでもいい※そういうのが嫌いな相手にやると嫌がられるのでこれは相手による し、たとえば元々の友人関係なら普段からちょっとした雑談などでコミュニケーションをとっておくとかでもいいです。
私だって酷い条件の仕事でも受けることはあります。
何も出ないけどこのテキストを作り直してくれ(たしかその日のご飯は奢ってもらった記憶がある)とか、(お小遣いくらいの金額で)このシナリオを全面的に書き直してくれとか…。相場って何それおいしいの?みたいな案件もあります。
でもいちいち怒らないし、文句も言わないし、恩も着せないし、そういうのはまあ●●さんからだもんなって思って受けたりします。
でもこういうのはあくまで、知り合い経由での頼みだから引き受けるんであって、だからこそとんでもない納期でも優先的に作業するんであって、常にこれを要求されたら私も無理ですと答えざるを得ません。
予算がないこと自体はまったく責めないし、この予算でやってくれと言われて、私が何らかの理由で相手に対してその予算でやってもいいと考えるのであるなら、そこに負い目を感じろとも思いません。
ただ何かを切り落としている分、何かが犠牲になるのは諦めてもらうしかないとも思います。
どうしても明日までに●KB揃えないといけないというのが最優先なら質がどうこうとかを後で言わないとか、そういうやつですね。作業を1日で済ませる分、緻密な構成とかそういうことを言わないでほしいとか。
100円ショップの雑貨は質があまりよくないですよね。安いって言うのはそういうことです。
確かに安くて速くてうまいは理想ですが、それができるのは大規模な資本によるコストカットが可能な場合などくらいなんです。
フリーランスのライターやイラストレーターは大企業ではなく個人商店です。安くすることはもちろんできますが、例えばその分、コシヒカリを魚沼産じゃなくて茨城産にするとか、何らかのコストカットをする必要が出てきてしまうというのを踏まえていただく必要があります。
結論:手っ取り早いのは金、その次が人間関係
ミもフタもない結論ですが、結局はそこです。
スポットで都合のいい時だけ頼みたいけど自社を最優先で扱ってほしい、みたいなときには派遣社員を頼んだり企業形態でやっているところに頼んだりするしかない…ということでしょうか。
最近はソーシャルゲーム系の企業側もそれが分かってきたので、契約社員や派遣社員という形で月いくらでライターを常駐させることが増えてきているところもあるんですよね…。抱えておけば間違いなく自社業務を優先させられるので。(あといくら作業させても固定費ですむ)
ちなみに私を自社最優先のような形で抱えておきたい、なら前述のように相場程度の作業ボリュームで月30万くらい(シナリオなら200~300KBくらい・マンガ原作なら4~10本くらい・小説なら月1~2冊くらい)が目安です。
そこまでではないけどスポットで何か頼みたいという場合は少量からでも受け付けておりますので、お気軽にご相談ください!
正社員や契約社員などとして社内で勤務している人間と同じように、フリーランスの場合は営業収入がお給料みたいなものです。 社員を雇った場合に彼らが自社の業務を最優先にして、副業などは余暇の範囲で行う形であるのは「給料や各種手当で生活を支えているから」です。
愛社精神があるからでも仕事が好きだからでもありません。もちろん中には愛社精神がある人や仕事が好きだからやっている人間がいることが否定しませんが、同じことを無給でやれと言われたらほとんど全員が断りますよね? それじゃ生きていけませんから。
つまり自社を最優先にして欲しいなら相手の生活の柱になるくらいの金額を出すこと、が一番手っ取り早い方法になります。
ゲーム業界は昔から不況だなんだと言われていて、私もずっとやっていますが全体の相場が上がっているなんて話はとんと聞きません。
もちろん、一時期の「副業でやっているような、それで生活する必要のない素人を雇って安く上げる方法」が破たんしてきたので、最低ラインは上がっているのかもしれませんが、仮にそれで少し改善されていたとしても、それは業界の報酬水準が上がったわけではありません。元に戻ったというだけです。
つまりはフリーランスの専業ライターとして食べていくためにはそれだけの分量の仕事を毎月受けないとならないということです。
私(30代女性/関東在住)が年相応の健康で文化的な生活を送ろうと思ったら、最低でも手取りで30万くらいは欲しいです。
※フリーランスの場合は会社員と違って保険も年金も全部自分が負担で、各種手当も一切ないため一般的に「会社員の3倍以上の収入が必要」とされています。ですので30万は結構少な目に見積もった方です。本音で言うなら60万くらいは欲しい
月当たりの報酬と作業量は見合っているのか?
一番の原因はこれです。
「●●円も払っているのにウチを一番に優先しないなんて!」 っていうやつ。
でもこれは金額の罠があるんですよねー…。
“その金額を払うのに、何カ月かけて仕事をさせる計算でやってますか?”ということと“その作業量にその報酬は適正ですか?”っていうことです。
これは本当にあった笑えない話なんですが、あるとき、とある会社から「月に20万くらいの収入になります!」とオファーがありました。2ヶ月で40万。
なるほど悪くないなと思って話を聞いてみたら、 1ヶ月に20万(源泉徴収が引かれるから実際に入るのは18万)で1.5MBのシナリオとスクリプトをやって2ヶ月で3MB書いてくれという話でした。
向こうの言い分としては「スクリプト込みで1.5MBなのでシナリオの分量はその半分くらいです」とのことですが、つまりそれってシナリオを1.5MB書かせてスクリプトもやらせるって話なわけで…。
確かに2ヶ月でやったら20万円/月ですが、どう考えても無理です。いや、やってやれなくはないですけど、他のことが何もできないくらいのボリュームになってしまう…。
社員でそれなら、福利厚生とかも色々あるでしょうし月に手取りが18万でもまあなんとか、ということなのはわかります。でも言いたいことはよくわかりますが、相場から言っても作業ボリュームから言っても無理なのでお断りしました。
だってシナリオ1.5MBって、1KBの単価500円※商業で聞いたことがある最低単価で受けたとしても75万です。1000円※一般的な相場単価で150万円ですよ。つまり相場の4分の1でスクリプトまでコミっていう…。
前述のとおり、専業ライターは取引で得た営業収入で生活しています。そんな金額で受けたら生活が破たんしてしまうのです。
ここまでじゃなくても、たとえば1KBの単価が500円で月に100KB書いてくださいっていう依頼があったとしたら、仮に受けたとしても最優先に作業するのは難しいのです。
私の基準で言うなら、その仕事の他に25万円分稼げる仕事を入れなくてはならないので、そちらの作業も順次やっていかなくてはならないからです。
つまり、そういうパターンで自社を最優先にして欲しい場合には30万のうちの出来るだけ多くを占められる単価を提示する、が一番簡単なやりかたです。
もちろん金がすべてではない
もちろん、仕事を受けるのや優先順位をつけるのはお金だけが基準ではありません。
相手との関係(普段どれだけ世話になっているか)とか、その仕事がステップアップにつながるかとか、内容が多少の悪条件でもやってみたいと思えるかどうかとか、色々な要因があります。
だからあらかじめ相手との人間関係を作っておくというのもやり方としてはあります。
普段から継続的に発注しておくとか、相手が飲むのが好きなら飲みにケーションでもいい※そういうのが嫌いな相手にやると嫌がられるのでこれは相手による し、たとえば元々の友人関係なら普段からちょっとした雑談などでコミュニケーションをとっておくとかでもいいです。
私だって酷い条件の仕事でも受けることはあります。
何も出ないけどこのテキストを作り直してくれ(たしかその日のご飯は奢ってもらった記憶がある)とか、(お小遣いくらいの金額で)このシナリオを全面的に書き直してくれとか…。相場って何それおいしいの?みたいな案件もあります。
でもいちいち怒らないし、文句も言わないし、恩も着せないし、そういうのはまあ●●さんからだもんなって思って受けたりします。
でもこういうのはあくまで、知り合い経由での頼みだから引き受けるんであって、だからこそとんでもない納期でも優先的に作業するんであって、常にこれを要求されたら私も無理ですと答えざるを得ません。
予算がないこと自体はまったく責めないし、この予算でやってくれと言われて、私が何らかの理由で相手に対してその予算でやってもいいと考えるのであるなら、そこに負い目を感じろとも思いません。
ただ何かを切り落としている分、何かが犠牲になるのは諦めてもらうしかないとも思います。
どうしても明日までに●KB揃えないといけないというのが最優先なら質がどうこうとかを後で言わないとか、そういうやつですね。作業を1日で済ませる分、緻密な構成とかそういうことを言わないでほしいとか。
100円ショップの雑貨は質があまりよくないですよね。安いって言うのはそういうことです。
確かに安くて速くてうまいは理想ですが、それができるのは大規模な資本によるコストカットが可能な場合などくらいなんです。
フリーランスのライターやイラストレーターは大企業ではなく個人商店です。安くすることはもちろんできますが、例えばその分、コシヒカリを魚沼産じゃなくて茨城産にするとか、何らかのコストカットをする必要が出てきてしまうというのを踏まえていただく必要があります。
結論:手っ取り早いのは金、その次が人間関係
ミもフタもない結論ですが、結局はそこです。
スポットで都合のいい時だけ頼みたいけど自社を最優先で扱ってほしい、みたいなときには派遣社員を頼んだり企業形態でやっているところに頼んだりするしかない…ということでしょうか。
最近はソーシャルゲーム系の企業側もそれが分かってきたので、契約社員や派遣社員という形で月いくらでライターを常駐させることが増えてきているところもあるんですよね…。抱えておけば間違いなく自社業務を優先させられるので。(あといくら作業させても固定費ですむ)
ちなみに私を自社最優先のような形で抱えておきたい、なら前述のように相場程度の作業ボリュームで月30万くらい(シナリオなら200~300KBくらい・マンガ原作なら4~10本くらい・小説なら月1~2冊くらい)が目安です。
そこまでではないけどスポットで何か頼みたいという場合は少量からでも受け付けておりますので、お気軽にご相談ください!