G7首脳宣言要旨
先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)で採択された首脳宣言の要旨は次の通り。
【世界経済】
世界経済の見通しは引き続き改善しているが、経済成長の恩恵を受けている人が少な過ぎる。新興国のリスク耐性は向上したが、最近の市場動向は潜在的な脆弱(ぜいじゃく)性を想起させる。引き続き市場を注視し、成長を支えるため、政策を総動員する。既存の為替レートに関するコミットメントを再確認する。
【貿易】
われわれは自由、公平かつ互恵的な貿易・投資が成長と雇用創出の主要な原動力であることを認識。ルールに基づく国際貿易体制の重要性を強調し、引き続き保護主義と闘う。できる限り早く世界貿易機関(WTO)をより公平な組織に近代化することを確認。関税・非関税障壁と補助金の削減に努める。
【市場歪曲(わいきょく)措置への対応】
技術移転の強制やサイバー技術を使った(知的財産権などの)窃盗、不十分な知的財産権保護に対処するため、既存の国際ルール執行と新ルール構築に向けて協力する。市場歪曲的な産業補助金と国有企業による貿易歪曲行為に対し、より強力な国際ルールを構築するため、年内に交渉を開始するよう求める。
【北朝鮮】
われわれは北朝鮮に対し、全ての大量破壊兵器、弾道ミサイル、関連する計画・施設を、完全、検証可能かつ不可逆的な方法で廃棄することを引き続き要求する。われわれは、北朝鮮による核実験と弾道ミサイル発射の一時停止宣言、4月27日の板門店宣言での非核化の約束、5月24日の豊渓里での核実験場閉鎖を含め、最近の進展を認める。
しかし、われわれは完全な非核化の重要性を強調する。全ての大量破壊兵器と弾道ミサイルの廃棄は朝鮮半島の全ての人々の前向きな未来と、長い間苦しんできた北朝鮮の人々の繁栄の機会につながる。
より多くのことがなされねばならず、われわれは北朝鮮に政策を変えて決定的で不可逆的な措置を取るよう促すため、全ての国に対し、関連する国連安保理決議の完全履行を含めて強い圧力を維持するよう要請する。この文脈でわれわれは北朝鮮に対し、国民の人権を尊重し、拉致問題を直ちに解決することを改めて要求する。
【ロシア】
われわれはロシアに対し、民主主義を弱体化させる振る舞いと、シリア政権への支持を停止するよう促す。軍用レベルの神経剤を使った英ソールズベリーでの攻撃を非難する。攻撃への責任はロシアにある可能性が極めて高いという英政府の評価に同意する。
われわれはロシアに対し、国際的な義務と国連安保理常任理事国としての責任に従って行動し、国際の平和と安全を守るよう促す。われわれは地域の危機と地球規模の課題に対処する上でロシアに引き続き関与する。われわれはクリミアの違法な併合を改めて非難し、ウクライナの主権と独立と領土保全への永続的な支持を確認する。
【東・南シナ海】
われわれは東・南シナ海の状況を引き続き懸念し、緊張をエスカレートさせ、地域の安定とルールに基づく国際秩序を損なう一方的行動に強い反対を繰り返し表明する。われわれは全ての当事国に対し、係争地域の非軍事化を追求するよう促す。
【イラン】
イランの核計画が今後も平和的であると恒久的に確保することを約束する。イランによるテロ組織支援を含め、財政面でのあらゆるテロ支援を非難する。
【地球温暖化】
カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国と欧州連合(EU)はパリ協定の実行に強くコミットしている。米国は「持続可能な経済成長と発展は安価かつ信頼できるエネルギー源へのあらゆるアクセスにかかっている」と確信している。(シャルルボワ時事)。