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政治政策 社会保障・雇用・労働 週刊現代

いくら「働き方改革」が進んでも、深夜のお役所の電気が消えないワケ

まるで「不夜城」と化している

そもそも労基法適用外

前回の本コラムhttp://gendai.ismedia.jp/articles/-/55923)で触れたとおり、国会では「働き方改革」の審議が加熱している。

これにともない、民間企業でも形式上は労働環境の改善に取り組もうとする動きがさかんになっている。ただ、霞が関で働く役人の働き方改革はまったく進んでいないようだ。

基本的に国家公務員は9時半出勤、18時15分退勤とおおむね決まっているが、官庁によっては深夜も煌々と明かりがつく「不夜城」と化している。役人の労働環境の現状はどうなっているのか。

衆議院で5月25日に可決した高度プロフェッショナル制度(高プロ制度)は、一定の高収入がある専門職は労働基準法の適用除外とするものだ。しかし、一般職の国家公務員についてはそもそも労働基準法の適用除外である。

 

ではだれが霞が関で働く役人を保護する役割を担うのかといえば、それは人事院。

その責務を果たしていることを示す数値がある。民間で問題になっている過労死だが、就業者全体の人口1000人あたりの死亡率は2・8人であるのに対し、公務員では2・6人と平均以下だ(厚労省『人口動態職業・産業別統計2015年度版・男』より)。

たしかに省庁の明かりは夜半すぎても灯っているが、すべての職員が残業しているわけではなく、一部のキャリア官僚に職務が集中している。残業の原因は法案作成や国会対応などで、これらの業務はキャリアが基本的に行うためだ。

では、肝心の残業代は払われているのか。これは省庁によって異なるが、一般的には決められた残業予算の枠内で支払いが決まるので、残業時間が一定時間を超えると頭打ちになる。

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