b50aこのブログでは基本的に、書いている時点で手に入るウイスキーを紹介していますが、今回はとっくの昔に生産終了したボトルを紹介します。
それがニッカウヰスキーが販売していた「黒の50」 です。

黒の50は1975年に発売されました。ネーミングの由来は、発売当時が「昭和50年」だったからという単純な理由だそうです。黒いボトルにしたのも、現在でも看板商品であるブラックニッカにあやかったものと思われます。
ターゲットを若者向けにしていたようで、CMもディスコで使われていたソウルミュージックを使ったり、ロッド・スチュワートをイメージキャラクターに起用していました。

サントリーでは、ホワイトをサミー・デイヴィスJr.を起用するなど、若者向けをターゲットにしていただけに、黒の50はホワイトの対抗馬として作られたかもしれません(どちらも当時は1級ウイスキーでした)。
当時の価格は1000円で、今の物価に換算すれば2000円ほどになるかと思われます。

1979年に黒の50デラックスにリニューアルした後、1990年代には販売終了したようです。

今回、行きつけの酒屋さんに行ってみると、なんと生産終了した北杜など、レアなボトルが並んでいました。
これもチャンスがあれば採り上げようと思います。

そしてそのお店にあった黒の50をGETしました。
ニッカウヰスキーデータベースによると、 ボトルにはDELUXEの文字がないため、1975年~1979年に販売されていた初代のようです。
ラベルは一部はがれていますが、「ウイスキー1級」と、25年以上前のウイスキーであることを証明してくれます。
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キャップはスクリュー方式で、見た目にはしっかりと栓がされているようですが、軽くキャップ部分が回るので、隙間がある恐れはあります。

b50c飲まずにコレクションする気はないので、この貴重なボトルを開けて飲んでみます。
グラスに開けてみますが、香りが失われている感じは少なく、劣化は少ないように思えます。

まずはストレートで。 
う~ん、 住居の地下室のようなにおいがします。倉庫にしばらく置いてあったということなので、スタッドレスタイヤなどのにおいがついてしまった可能性はあります(余市モルトに感じられるゴムのにおいとは異なりました)。

それを抜いてみると、全体的にはまろやかで、 ほのかなブドウ、ナシ、リコリス(甘草)を感じます。スモーキーな感じはほんのりする感じです(倉庫臭が誘っている可能性はありそうですが...)。
味わいは以外にも穏やかで、アルコールからの辛味は少なく、余市モルトらしい酸味が主体となっています。

ロックにすると、やはり倉庫臭が真っ先にやってきますが、ストレートで感じられた香りは抑えられ、ウイスキーとしては薄っぺらい印象になります。 
味わいこそ酸味がまだ残っている感じです。
やはりモルト原酒が限られてしまうため、以前に飲んだ初号ハイニッカ復刻版よりも香りを少々上乗せした印象になります。

発売時期が、私が生まれて間もないころですので、実際に飲んだ方も最低で50代後半、メインで還暦を超えた方々でしょう。

ボトルは720mL、アルコール度数は40度になっています。

倉庫臭が当時からあったかについては、当時飲まれた方の意見を聞くとして、それを差し引くと、現行のブラックニッカ リッチブレンドやクリアに通じる、若い人に向けたライトなブレンドになっている気がします。 
ただ、現行品としてブラックニッカクリアやリッチブレンドがありますので、黒の50が復活する可能性は低いように思えます。

<個人的評価>
・香り C: 余市モルトならではのブドウ、ナシ、バニラが感じられる。スモーキーさは控えめ。
・味わい C: ニッカらしい酸味がメイン。甘さはほとんどない。
・総評 B: 当時1000円のウイスキーとしてはコスパが高かったと思われる。 

<2015/10/24追記>
さて、このボトルで気になっていた「倉庫のにおい」、その後サントリーの「知多蒸溜所」を飲んでも似たような香りが感じられました。

ひょっとすると、熟成されたグレーン原酒ならではの香りなのか?

経年劣化や周辺のにおいが吸収されたことを抜きにすると、黒の50の香りはグレーン原酒由来のものなのかもしれません。