◆前回企画のまとめ(12.24up)
「中国人留学生から見た日本」
2010年12月16日(木)18時20分~21時20分
参加者42名
6名の中国人留学生の方から日本に関心を持った契機や理由、来日してから日本の印象はどのように変化したか?を中心に自己紹介を兼ねて各15分くらい話して頂いた後、質疑応答がなされました。
《尖閣諸島の漁船衝突事件を巡って中国国内で反日デモがあったことをどのように受け止めてているか?またなぜ反日デモが起こったか?》という質問に対しては複数のスピーカーから《中国国内の政府に対する不満がnationalism という形を取って現れたもの》という見方が示されていました。
中国における不満の中身としては「格差問題」が挙げられていました。「日本も所得格差が拡がっているが、中国は日本以上に格差が、拡大している。とりわけ農村においては、都市へ低賃金労働という形で出稼ぎに出ていき、農村には、高齢者と子供だけが残されるという『農村空洞化』が進行している。」「都市で生活する労働者も、懸命に働いても、一生かかって自ら住まいも確保するのが容易でない階層が多数部分になっている。」「日本における状況も同様だが、かつて存在した地域社会での連帯や互助といったものが希薄になり、核家族化もともなって、社会的孤立化が進行していく。このような状況の中で数少ない《共有し、まとまれるもの》が「Nationalism」である。今回の反日デモも内陸部で起きたものであり、経済的政治的な内政問題が背景にある。」等々の指摘がスピーカーから出されていました。
《中国国内では政府による言論統制が行われていることについてどのように受け止めているか?》この質問に対しては・・・
1)
「中国は、文化も価値観も異なる53もの異民族を抱える国家であり、それを束ねていくためには、強力な政府が必要であり、現時点では、ある程度政府による規制はやむを得ない」という意見と「それには同意しない」という意見も他のスピーカーから出され、政府の言論統制に関しては、スピーカーの中でも意見が分かれました。
2)
「日本では、中国のメディアの在り方について問題視されているけれども、日本のメディアにおいても異なった次元ではあるが、問題を孕んでいる。」という指摘もスピーカーからなされました。「日本のテレビは視聴率至上主義で、娯楽番組がかなりの部分を占めている。日本の若者の政治的無関心が言われているけれども、かなりの部分はメディアの責任が大なのではないか。」また「今回の尖閣諸島問題でもメディア全体として対立を煽るような論調の報道が目立った。」という指摘もなされました。
冒頭のスピーカーの自己紹介を兼ねた話の中では、日本人の若者は「いまいち元気がない」という印象が語られていました。「将来に希望が抱けない」ということであり、それは若者の責任というより、政治家をはじめとする上の世代の責任でもあるかもしれない、ということも付け加えられていました。
他にも論点は多岐にわたっていましたが、以上の点が特に印象に残った点でした。とりわけ中国でも日本でも《平和の問題》と《貧困の問題》とは、強い連関があることを改めて認識させられました。質疑応答ではかなり議論が盛り上がり、予定時間を超過してしまい、議論を打ち切らざるをえませんでした。参加者にはお詫びいたします。
【当日の様子】

終了後のアンケートに記入された感想(抜粋)
◆中国との直接接点がふだんもつことがないので、とてもよい機会でした。リベラルな方、主流の意見の方、と中国の方でも違った視点のお話を伺うことができ、大変興味深く、中国への私自身の視点も少し今までと違ってくるように感じました。
◆大変興味深い話を聞くことができて、よかった。私たちが自分達のことを一日本人とは思っていないように、中国人だって中国人というくくりでまとめられるわけがないのは分かっているのに漁船衝突事件のあと、どうしても中国に対してマイナスの感情をもってしまっていたので、生のお話を聞き、改めて理解しなければ、個人を見なくては、と思う機会を与えられたと思う。
◆初めてこのような場に参加させて頂きましたが、非常に考えさせられることが多くあって楽しめました。またこのような機会がありましたら参加させて頂きたいと思います。ありがとうございました。
◆反日、反中という感情的な意見ではなく、お互い本音を議論できて、本当に有意義な時間となりました。ありがとうございました。
◆非常に有益な企画だと思いました。いろいろ準備頂きましておつかれさまです。一番重要なこのは、本音で向き合う、ということだと思います。こうした「生の声」を聞くという場をこれからも設けてほしいと思います。
◆非常におもしろかった。しかしあまりに政治的な方向に走っているが僕としては政治だけでなく、生活全般の出来事にも焦点をあててほしかった、政治的な本音を引き出せることは出来たと思ったし、視野も広めることは出来たと思う。ただ時間が足りません。懇談会としての自由な風潮で皆さんも熱気があってびっくりしました。留学生以外もみなさんよく考えていると思いました。
◆中国から日本に来られた6人の方がそれぞれカルチャーショックや新しい発見をされていて、面白いと感じました、愛国心やナショナリズムなどの問題についても考えさせられました。
◆日本人のみが話すのではなく、中国の方からの視点を知ることで、自分達の物事の考え方の偏っているのがわかって勉強になった。反日教育が何なのかわかって面白かった。ただふりかえって「中国」に関して多く知れたが、新たな「日本」という視点が少なくて残念だった。時間の段取りなど運営を改善して欲しい。(後略)
◆留学生からの話を聞いて自分自身だったらどのように答えればいいのかについて考えました。私は中学からずっと日本に住んでいますので日本の生活も慣れて、好きなところもあって、中国のことも思い続けています。これから自分のあり方が両国に対する良いイメージを保ち続けるようにしたいと思います。
◆今回このような企画があったことすら全く知らず、友人の付き添いで飛び入り参加したのですが、とても興味深いお話が聞けたと思います。同時にとても驚いたのが、日本人の私でも考えたことの無い問題について皆さん考えて自分の思想を持っていらっしゃって、自分は何も知らないなあと少し恥ずかしくなりました。私はつい最近まで3カ月半ほどカナダに留学していて、それだけで大きい事を成し遂げた気になっていました。しかし、その考えもとても浅はかだったことを思い知らされました。少し留学した位で、自分が成長した気になって、今回皆さんのお話を聞いて、自分はまだまだだと痛感しました。お話の内容とは直接関係が無いかもしれませんが、同じ学生、またつい最近まで同じ留学生だった自分にとって、とても刺激になりました。
以上。 |