9秒でまるわかり!

  • 大学進学率の低さで、県が高3生と保護者計4千人に初の大規模調査
  • 県「高校生活の充実度や自己肯定感、母親の学歴が進学に影響」
  • 給付型奨学金(290人に月7万円)は11億円だが、大学新設だと78億円

 沖縄県は4日までに、高校3年生や保護者らを対象に実施した高等教育を受ける機会の創出や環境整備に関する調査結果をまとめた。大学進学希望者は68・7%だが、実際の大学進学予定は54・4%と差が生じた。理由では、生徒は学力と家庭の経済状況が「ある程度」を含めてそれぞれ約7割が関係すると回答。世帯収入が低いほど経済状況を理由に挙げる割合が高かった。

 県企画調整課は「大学新設などハード面の整備を検討する前に、県内の現状を踏まえたきめ細かな対応が重要だ」と指摘。各種奨学金などによる経済支援のほか、県内高等教育機関の受け皿拡大などの検討も必要だとしている。

 全国に比べて低い沖縄の大学進学率などを受けた調査で、2017年11月下旬から約1カ月間、離島を含めた公私立28校で2660件を配布。高3生徒1954件、保護者1899件から回答を得た。同様な大規模調査は初めてという。

 進学希望するも実際にできなかった関係性を世帯収入別にみると、200万円未満で家庭の経済状況が84・4%と最も高い一方、400万円以上では自身の学力とする回答が最も多く7割以上。800万円以上の生徒の57・1%が第1希望で県外(国内)に進学予定だが、200万円未満は27・5%だった。

 同課によると、データの統計分析では「世帯収入よりも高校生活の充実度や自己肯定感、母親の学歴などの方がより大学進学に影響を与えている」という。

 一方、18~39歳の県出身者への調査(965件回答)では、希望進路を選択するための必要な支援策として、返済義務のない給付型奨学金(61・6%)、希望の職業に就くために必要な勉強や資格の情報提供(61・1%)などだった。

 進学断念者への支援策の試算では、給付型奨学金(学生290人)は月額7万円で11・2億円が必要とした。また県内の既存私立大学へ学部を新設した場合、文系は1学年250人で初期費用約78・5億円、理工系で約138・5億円とした。