このブログでもたびたび紹介していますが、弊社では、クールジャパン応援新聞と題した冊子を発行しています。クールジャパンという言葉を聞くだけで毛嫌いする人が多いようでw 「国の金使ってクオリティの低い雑誌を出してんじゃねえ!」って怒られたりしますが、国のお金どころかなんの補助金も一切いただいていません。ただただ仲間内で、手弁当で作っています。赤字を垂れ流して。
海外を回るうちに、日本・JAPANブランドの強さを知るにつけ、もっと日本人は世界で頑張ろう!というメッセージを発信したくなり、半分皮肉を込めて「クールジャパン応援」と名付けました。一方で、クールジャパンと聞けば反射的に叩くというのは全く建設的ではないので、心からクールジャパンを応援もしています。
ということをわかってくださっている人たちから、この記事について、たくさん連絡が来ました。
要約すると、「税金使って程度の低いことしてんじゃねえ!クールジャパン政策なんて最悪!」筆者自らテレビでも解説しいてとてもバズっているようです。
クールジャパン機構・伊勢丹のISETAN The Japan Storeのプロジェクトは、マレーシアの首都クアラルンプールのど真ん中、東京で言うところの銀座4丁目交差点のようなところにある少し古めの商業施設ロット10に入っている古い伊勢丹をリニューアルしよう、というところから始まりました。
20億円かけてリニューアルするにあたり、51%を伊勢丹 49%を海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)が負担することになりました。開店準備に向けて、館の中に何を入れるか=コンテンツを何にするかは、全て伊勢丹側が主導していたように感じました。計画段階から相談を受けた私は、人や会社を仲介したり、コンテンツのアイディアを提供したりしました。(お金いただいていません)
この段階で、クールジャパン機構の人に会うことはありませんでした。
そして2016年秋、ISETAN The Japan Store が開業。私も(自費で)オープニングセレモニーに参加。その時、初めてクールジャパン機構の方々とご挨拶しました。そのご縁で機構の太田伸之社長にインタビューも行いました。
そこで知ったのは、
「クールジャパン機構は、金は出すけど口は出さない」
が基本方針だと言うことです。
「我々は事業のプロではないので、報告は受けるけど意見は言わない」というのです。
つまり、「酷すぎるクールジャパンの実態」の記事で指摘している、品揃えが日本と関係ないものがたくさんある(オープンからしばらくは日本で統一しようとされていらっしゃいましたけどね)、値付けが高すぎる、等に関して、クールジャパン機構は口を出していない、運営も全て伊勢丹側が主導して行ってきた、ということです。
(この姿勢を問題視するのであれば、そこは共感しなくもないです。金を出すなら口も出したほうがいいんじゃない?と仲間内では話していました。しかし、クールジャパン機構側としては確固たる信念がおありになるようでした。)
2012年の日経新聞によりますと、当時の伊勢丹の大西社長は、
と宣言しています。
しかし、今、東南アジア各国の伊勢丹を視察しても、ISETAN The Japan Storeと比して、コンテンツも客入りも大差ありません。ISETAN The Japan Storeが特別なのではないのです。
一方で、「酷すぎるクールジャパンの実態」の記事の中に、レストラン街には辛うじてまばらに客が入っている。」とありますが、これは何曜日の何時に視察したのかを明確にすべきです。
何故なら、4Fにある
The Tokyo Restaurant. (トリップアドバイザー)
は、平日夜でも満席で入れない、クアラルンプールでも屈指のクールな大人気レストランに成長したからです。開店当初に苦戦しているのを見ていた私も驚愕の混み具合です。運営のPlan・Do・ Seeの方にお話を伺ったところ、あの手この手の試行錯誤を行なった結果、マレーシア現地の人たちにたくさんいらしていただけるようになった、レストランは起死回生の手を打てるんだ、と再確認した!とおっしゃっていました。
NEWS PICKSで現地の方々は「こんな記事を鵜呑みにする日本の民度を疑います」と大反論していますが、おそらくこの辺の状況を指しておっしゃっているのでしょう。
記事を見た現地の方からの反論
記事を見た現地の方からの反論
しかし、全体的には、確かに人は入っていないというのが、開業から継続して見てきた私の印象です。(繰り返しますが、それはISETAN The Japan Storeに限ったことではありません。)
しかも、状況はどんどん悪くなっていきまして、、、
去年、電撃的に伊勢丹 大西社長が辞任します。
今年、クールジャパン機構側のマレーシア伊勢丹担当が変わりました。「さすがに状況が良くないので、機構側としても口を出していく」という方針になったと聞きました。
その後、伊勢丹側もISETAN The Japan Store開業時からのメンバーの面々がはずれ、刷新されました。伊勢丹内でも有名人のISETAN The Japan Storeの店長は、そのまま伊勢丹を退職されました。
その後、伊勢丹側もISETAN The Japan Store開業時からのメンバーの面々がはずれ、刷新されました。伊勢丹内でも有名人のISETAN The Japan Storeの店長は、そのまま伊勢丹を退職されました。
今年の春にISETAN The Japan Storeを訪れた際に、地下の食品街で韓国食品フェアが行われていたのには、驚愕しました。
そして、NHKのニュース。
「クールジャパン機構が手放す株式は三越伊勢丹側が買い取り、店の営業を続けるということで、今後、品ぞろえを見直すなどして早期の黒字化を目指すとしています。」
最初から伊勢丹が主導して、品揃えも値段も全て伊勢丹が決めて来て、クールジャパン機構は何も口を出してこなかったのに?
「海外で見た酷すぎるクールジャパンの実態~マレーシア編~」
「クールジャパン機構 マレーシアの日本専門デパートから撤退 」
この二つの記事に共通していることは、誰にも話を聞いていない、ということです。「クールジャパン政策の失態」に結論を持っていくために、感想・推論・憶測で作文しています。
「クールジャパン機構 マレーシアの日本専門デパートから撤退 」
この二つの記事に共通していることは、誰にも話を聞いていない、ということです。「クールジャパン政策の失態」に結論を持っていくために、感想・推論・憶測で作文しています。
私が経緯を知った上で作文するとすると、
「古くなったマレーシア・クアラルンプールの伊勢丹を、会社の方針に従ってリニューアルしようと思ったら、クールジャパン機構が乗ってくれて、半分お金を出してくれた上に、口も出さないでいてくれるから、従来の伊勢丹のやり方で運営したら、他のアジアの伊勢丹と同じような結果になりました。」
です。
この件に関して検証すべきは、
・機構のお金を使って、自分たちの好きなように進めた伊勢丹の姿勢
・金は出すけど口は出さない、というクールジャパン機構の姿勢
の2点かと思います。
あと、、、
酷すぎるクールジャパンの実態の記事中に
「そして本来、クールジャパンの中核であったはずの、
日本の漫画やアニメなどの現代カルチャーに対する無理解と無知を克服しないまま、そして自国の現代文化に対する無知を放置したままの文化への無教養が背景にあるからこそ、日本文化と称して『アナ雪』や『スターウォーズ』を堂々と展示して憚らないのである。」
とありますが、ISETAN The Japan Storeがそれなりに頑張ってこられた過去一年半のいくつかのイベント写真を添付します。
確かにアナ雪やスターウォーズはどうかと思いますが、それだけ切り取って伝えるのもどうなんでしょうね?
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