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このたび、2018年6月9日島根県川本町悠邑ふるさと会館にて予定されていた「ジュビちゃんオン・ステージ」の開催中止によって各方面に多大なるご迷惑をおかけしてしまった事を心からお詫び申し上げます。特に公演を楽しみにしてくださっていたお客様には申し訳ない気持ちでいっぱいです。中止に至った原因について、一人でも多くの方のご理解を頂けたらと思い、ここに私の個人的見解を掲載させて頂きます。
当初3月にこの公演のお話を頂いた際に、私の方からポスター・チラシのデザインについては町の担当者にお任せしたいという意向を伝えておりました。しかし担当者より町おこし事業として町外からも多くのお客様を動員するために、インパクトのある広報をしたいという理由から「面白い、派手なものを作って欲しい」と逆に依頼され私が作成した経緯があります。
公演間近になって県内で性同一性障害の啓蒙活動をされておられる市民の方が私の作成したポスターをご覧になって気分を害され、その思いを町に伝えに来られたそうです。それに対して川本町としてどう対応するか混乱が生じ情報が錯綜した、と後日報告を頂いております。事実、当初担当者から私へ通達された内容と、後日話し合いで確認させて頂いた内容には食い違いがあり、一貫性がありませんでした。例えばポスターの撤去について当初担当者からは「撤去し、廃棄することになった」とメッセージを頂きましたが、6月1日の話し合いで確認したところ「クレームが来たのでイデアラさんに良い対策はないか相談したもの」に変化していました。また、担当者から私へのメッセージには「姿も不愉快である」というクレームを受け入れ写真を使用せずに作り直す、という趣旨の内容が書かれているのですが、後日の話し合いでは「写真については川本町の誰も言及していないし、決定した事実もない」と説明を受け、とても理解に苦しみました。
そんな中で川本町側が特に慎重に考えておられたのは「オネエ」という言葉が差別に当たるとする見解を持つ方への配慮でした。私は「オネエ」という言葉を不快に思われる方がおられても、私の容姿を不快に思われる方がおられても、それは個人の自由であり仕方がない事だと思っています。今回の公演にあたり私が作成したチラシ・ポスターデザインや私が個人的な思い入れによって制作した楽曲、動画について守られる権利があるのと同じように、クレームをつけられた方にも不快である思いを発動する権利があります。それにどう対処するかは主催者が決める事であり、私に権限はありません。
お客様のことを第一に考えるならば公演を挙行すべきであるという意見もある中、私個人としては開催は難しいであろうという見解を出させて頂きました。その理由はポスターだけの問題ではなく私の上演する公演の内容・趣旨について川本町は何も把握できていなかったからです。私の公演は演奏だけでなく、曲間に軽いコントのような茶番が入ります。その中には「オカマ」などの文言も出てまいります。台本は私自身の経験を元に性差別やハラスメントを扱ったお笑い劇として仕立てたものですが、それが町の意向に沿えるものであるかどうかは疑問であり、かと言って台本をチェックして内容について協議する時間も残されていません。現在の混乱を見れば公演が終了してから「不適切であるかどうか」という論争が持ち上がるのは必至です。更にもし仮に興行中に気分を害されたお客様がいらっしゃって苦情を寄せられた場合どう対処するのか?という不安が払拭できませんし、場合によってはお互いの身の安全を確保することも難しいような事態が起こらないとも限りません。それらを総合的に見て公演は不可能であろう、というのが私の見解でありました。
予定していた公演の台本は3/11の大阪公演の内容を川本町公演向けに改訂したもので、私が3/31の三江線廃線の際に街を取材して制作した動画用に作曲した「鉄橋と彩雲と、ぼく。」を冒頭と最後に配した上で「えごはちゃんダンス」などの地域ネタを織り交ぜるなど川本限定の内容になっていました。頭が硬いと言われればそれまでですが、この改訂作品は私自身も町おこしに本気で参加しようと決意して川本町のためだけに作り直したものであり、川本町以外で上演しても意味がありません。したがって会場を変えて代替公演をする発想はありませんでした。
今回、残念ながら川本町は少なからず世間から非難を浴びる結果を残してしまいましたが、「他にはできない、新しいものをやりたい」という着想を私は支持します。新しい事をやるにはリスクが伴います。非難するのは簡単ですが、行動を起こすのは困難が伴うものです。今回の失敗の最も大きな原因は意思の疎通ができていなかったことです。まずは「ほう・れん・そう」がしっかり整った環境を作り、開かれた討議の中で「どのようなイベントを誘致するべきなのか」時間をかけて考えることです。皆が納得した上で演奏家を誘致し、一つの方向に向かっていれば公演10日前にポスターを変更しようなどという発想は生まれなかったと思いますし、信頼関係を壊すことも無かったでしょう。
川本町は美しい町です。
そして悠邑ふるさと会館は素晴らしいホールです。
今回の公演が中止になったことは大変残念ですが、これにめげることなく新しい企画をどんどん推し進めていかれる事を期待しています。
そして、この美しい街に楽しい演奏会を求めて多くの人が集うことを願ってやみません。
2018年6月3日 Juvileine Idehara
2018年6月8日更新
一部報道におきまして「後援の依頼を受けた市民団体」という表現がございますが、川本町が市民団体に後援を依頼したという事実につきましては新聞各社からの取材の中で初めて知ったものであります。
なお、この件に関しましては以後マスコミ等の取材は辞退させて頂きますので悪しからずご了承くださいませ。
NHK-FM「くるり電波」でジュビちゃんのCD「Gymnopédiste」から「サラバンド第二番」が紹介されます。
2018年6月1日放送
Opening Theme. 2017年の行進曲 / 岸田繁, 指揮:広上淳一, 演奏:京都市交響楽団
1. Four Out Of Five / Arctic Monkeys
2. Deep Pockets / Gaz Coombes
3. EFS No.99 Can-Can / Can
4. 射撃手のコロ Topdzijsko Kolo / Boban & Marko Markovic Orchestra
5. Tatli Dile Guler Yuze / Altin Gun
6. Ir Yendo / Aca Seca Trio
7. Eric Satie サラバンド第2番 / Juvileine Idehara
8. だいじなこと / くるり
再放送 NHK-FM 6月8日(金) 午前10時00分
ラジオ第1 6月8日(金) 午後4時05分
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【鉄橋と彩雲と、ぼく。】〜三江線ラストランに寄せるラプソディ〜
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