九大・伊都キャンパスへ鉄道延伸案 波多江駅から 糸島市が委託調査 [福岡県]
九州大の今秋の伊都キャンパス移転完了に向けて、市街地からキャンパスまでの新たな公共交通システム導入について糸島市が委託調査した結果がまとまった。鉄道をJR波多江駅(同市)から延伸して結ぶ案を「既存鉄道網ともネットワーク化でき、定時性・速達性の確保、ピーク時の対応、事業性の観点から適当」とした。ただ、まだ市の案の段階で実現へ向けてのハードルは高そうだ。
調査は昨年度、東京のコンサルタント会社に委託して実施。交通アクセスを路線バス、自転車、自家用車に頼り、通勤・通学のラッシュ時に周辺道路での渋滞やバス待ちが発生することを踏まえ、「基幹的な公共交通システムの導入が必要」と結論づけた。
そこで(1)鉄道(2)モノレール(3)LRT(次世代型路面電車システム)の三つを比較。鉄道は、JR筑肥線への直通運転が可能▽各拠点からの所要時間を大幅短縮できる▽単線で最低限度の運行頻度を確保した場合に建設費と今後50年間のコストは最も安価-といった利点があり適当とした。
キャンパスと結ぶ区間は九大学研都市駅、周船寺駅とも比較。波多江駅が約4キロと最も近いことなどから実現可能性が高いとした。
ただ、ルートの詳細は決まっていない。
概算の事業費は260億~290億円。需要予測を基に鉄道の建設主体と運行主体が異なる「上下分離方式」を採用した場合、開業後50年以内に黒字化すると見込んだ。
糸島市の担当者は「どんな交通システムが良いかを含め市の提案を九大、県、福岡市、九州経済連合会、JR九州に議論していただければ」と話している。
=2018/06/09付 西日本新聞朝刊=