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差別的投稿で問題 掲示板サイト エプソン子会社 広告停止

 セイコーエプソン(諏訪市)子会社のエプソン販売(東京)のインターネット上の広告が今月1日、人種差別的な投稿が問題となった掲示板サイトの一つに掲載され、エプソン側が同日中にこのサイトへの広告掲載を停止していたことが8日、分かった。セイコーエプソンの広報担当者は「広告を含む企業活動では特定の思想を支持しない、とする社内規定に反するため」としている。

 問題となったのは、閲覧者をエプソンのホームページ(HP)に誘導する「バナー広告」。契約する広告会社の提携先のサイトを訪問した人の好みや年代などをシステムが自動的に分析し、エプソン側が求めている客層に広告を表示させる仕組みだ。

 今月1日に複数のサイトに掲載されたが、問題の掲示板サイトへの掲載が分かり、同日中に掲載されないよう手続きをした。外部から「ヘイトスピーチ関連のまとめサイトだ。広告を排除することはできるのではないか」との意見が寄せられていた。

 この掲示板サイトを巡っては昨年11月、ネット上の人種差別的な投稿をまとめた内容を掲載されたとして、在日コリアンの女性ジャーナリストが運営者に損害賠償を求める訴訟を起こし、大阪地裁が賠償金の支払いを命じている。エプソン側は、この掲示板サイトが広告会社の提携先だったことを認識していなかったとしている。

 表現の自由に詳しい専修大の山田健太教授(言論法)は「ネット上では、閲覧者数を増やすために意図的にヘイトスピーチのような激しい表現をする例があり、広告収入などのビジネスとして成り立っているケースもある」と指摘。その上で「企業倫理の範囲で広告を取り下げるなどの対応は、ネット上での行き過ぎた表現を抑制する効果がある」としている。

(6月9日)

長野県のニュース(6月9日)