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「もうおねがいゆるして…」目黒5歳虐待死はなぜ防げなかったのか

二度とこのようなことが起きないために

「ゆるしてください おねがいします」

2018年3月に目黒区で児童虐待によって船戸結愛(ゆあ)ちゃん(5歳)が父親に虐待され死亡した事件について、連日ニュースで流れており、たくさんの人が結愛ちゃんの残したノートのコメントを見て心を痛めているのではないかと思います。

【残されたノートの言葉】

ママ

もうパパとママにいわれなくても しっかりとじぶんから きょうよりかもっと あしたはできるようにするから

もうおねがいゆるして ゆるしてください おねがいします

ほんとうにもうおなじことはしません ゆるして

きのうぜんぜんできなかったことこれまでまいにちやってきたことをなおす

これまでどんだけあほみたいにあそんだか あそぶってあほみたいだからやめる もうぜったいぜったいやらないからね ぜったいやくそくします

もう あしたはぜったいやるんだぞとおもって いっしょうけんめいやる やるぞ

虐待を受けていたり、家庭環境によって社会的に孤立したりした子どもたちを支援している立場として、また一人の大人として、まだこのような事件がゼロにならない現状に無力感や苦しさを感じています。

 

虐待発覚から死亡までの経緯

報道によれば、虐待発覚から死亡までの流れは以下のようになっています。

2016年12月 香川県の自宅の前で結愛ちゃんが唇から出血した状態で放置され、児童相談所が一時保護をしていた
2017年2月 一時保護を解除され自宅に戻る
2017年3月 また放置され、児童相談所が2度目の一時保護
2017年4月 幼稚園を退園
2017年7月 一時保護を再び解除
2017年8月 結愛ちゃんが「パパにけられた」と病院が市に通報もしていた
2018年1月 東京に引っ越し。香川の児童相談所から東京の児童相談所にそれまでの経緯や情報は全て伝えていた
2018年2月9日 東京の児童相談所職員が自宅訪問したが、結愛ちゃんに会わせてもらえず
2018年2月20日 小学校の入学説明のため関係職員が自宅訪問したが、結愛ちゃんに会わせてもらえず
2018年2月下旬 父親が結愛ちゃんの顔面殴るなどの暴行
2018年3月2日 搬送先の病院で結愛ちゃん死亡。享年5歳
(引用:FNN PRIME onineより)

つまり、本件は虐待が発見されていない状況ではなく、近所の住民や病院などから何度も通報があり、児童相談所が2つも介入しており、死に至る前に未然に防げるチャンスはあったものです。

そして度重なる通報があったにもかかわらず、結愛ちゃんの一時保護は2度も解除され、家庭に戻されました。

一時保護後に家庭に戻さなければ、自宅訪問した際にもっと介入していれば、死に至る前に防げたかもしれない――そう思うと、余計にやるせない気持ちを感じずにはいられません。

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