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【やっぱり夏ジブリ】『トトロ』『思い出のマーニー』だけじゃない「インドアの夏」を楽しむジブリ作品5選

2017年6月30日(金) 18:00配信

サマーシーズンが到来する。ワクワクのドキドキの夏である。海水浴、プール、バーベキュー、キャンプ、夏フェスなどなど、果ては“ひと夏のアバンチュール”などという本当にあるのかよくわからないワードもあるぐらいで、アウトドアには楽しい娯楽が溢れているようだ。

ただ、うだるような暑さで、熱中病にて倒れる人も少なくない辛い外の世界。そんな地獄のような日本の夏の時期、室内で涼やかにクーラーを効かせ、冷えたコーラを飲みながら、面白い映画を観る。これこそ至上の贅沢。インドアに許された贅沢だ。

夏に観る映画…と考えてみるとスッと浮かんでくるものがある。スタジオジブリ作品だ。

22作品中、「夏っぽい」ジブリは14作品!

夏っぽいジブリ!

夏っぽいジブリ作品

理由を考えてみると、ジブリ作品にもいろいろあるので、一概に言えるものではない。が、まずは作品のイメージとして田舎の自然風景、青空、空を飛ぶ描写の魅力的な映像が多い。

さらにジブリ22作品中、実に夏を感じられる描写は14作品もある。また、ジブリ作品のテレビ放送が夏休み期間に毎週連続して放映されるので、「夏」と「ジブリ」というワードがくっついている人も多いだろう。季語になってもおかしくない勢いだ。そうとなれば、今年の夏はジブリを観よう。

…さて、ジブリの何を観るべきか。

ジブリ作品は『金曜ロードSHOW!』(日本テレビ系)で放送されている作品も多いので、何度も観たことがあるものはあると思うし、逆に「これは観ていなかった」という意外な作品もそれぞれあるだろう。どの作品を観れば、「インドアの夏」を堪能できるか。5本ほど参考にご紹介してみたい。

となりのトトロ』 監督:宮崎駿

『となりのトトロ』

となりのトトロ』(C)1988 二馬力・G

詳しい説明は不要だろう。

主人公のメイとサツキの子供姉妹による、引っ越し先の田舎を舞台にした話となる。不思議生物トトロとの交流の話だが、誰もが遊びに行きたくなるような「THE日本の田舎の夏」が味わえる。

青空、あぜ道、田んぼ、森、田舎の日本家屋や個人商店などなど。虫の鳴き声も涼しさや風流を感じられる。田舎育ちの人も、実家が都会な人すらも、田舎に帰省した気分が味わえること請け合いだ。


紅の豚』 監督:宮崎駿

『紅の豚』

紅の豚』(C)1992 二馬力・GNN

これも多くの説明が不要かもしれない。

イタリアのアドリア海を舞台にした、空中海賊とそれを狙う賞金稼ぎの元人間の豚の飛行艇での戦いを描いた話である。描かれる舞台が、海上上空での自由に空を駆る飛行艇の話なので、風を切る爽快感があり、作風がコミカルで緩いが、締めるところはきちんと締める。

カラっとした空気感があり、とにかく主人公のポルコのかっこよさにやられる。観終わった後、純粋に楽しかったと思えること請け合いだ。珠玉のエンターテイメント作品である。


火垂るの墓』 監督:高畑勲

『火垂るの墓』

火垂るの墓』(C)野坂昭如/新潮社, 1988

ジブリには『天空の城ラピュタ』『風の谷のナウシカ』『魔女の宅急便』など有名作が多々あるが、そういったエンターテイメント作品とは一線を画している作品となる。

太平洋戦争下の終戦前後の日本に生きる子供兄弟を描いた作品で、冒頭からひたすらに辛さが漂う。

ショッキングな描写も多く、気軽に観ることを進められるかといわれると、かなり難しい作品となるが、時代背景含め、この辛さや理不尽さからは目をそらしてはいけないものなのだろう。そして生死の狭間は簡単に飛び越えられるという事実を全力で投げつけてくる。いつ観ることが適当かというと、やはり夏になるので、ここであげさせていただく。


海がきこえる』 監督:望月智充

『海がきこえる』(C)1993 氷室冴子・GN

海がきこえる』(C)1993 氷室冴子・GN

ほぼ地上波放送されていないので観ていない人も多いかもしれない。

高知を舞台にした高校生の少年二人と少女一人の青春話。劇場作品ではなくテレビ向けの短編として作成されたもので、作品も70分ちょっとほどの短い作品であり、ジブリが得意な壮大さや空想性、そういうワードとは無縁の世界、高校生男女の面倒な世界を行間たっぷりに描いている。

“青春モノ”はどれだけティーン特有の面倒な空気感を出せるかによってその作品のすばらしさが決まるといっても過言ではないかもしれないが、この作品は丁度いい具合の説明のなさ、繊細な心理描写でグレーな感情をグレーなまま描いており、その辺の扱いが素晴らしい一品となる。

今となっては懐かしい公衆電話での会話、カセットテープのCM、大きいラジカセなど、90年台初頭の時代風俗もかなり反映されており、今となってはある意味ノスタルジーに浸れる作品であること請け合いである。

同じジブリの青春モノでも『耳をすませば』とはかなり趣きが違うので、両方見比べてみるのも一興だろう。

思い出のマーニー』 監督:米林宏昌

『思い出のマーニー』(C) 2014 GNDHDDTK

思い出のマーニー』(C) 2014 GNDHDDTK

ぜん息療養のため一時的に田舎に住むことになった少女アンナと、その療養先で出会った少女マーニーとの交流を描いたお話。人間関係や孤独、苛立ち、潔癖症、“普通”を羨む自己肯定が難しい性格の主人公なのも相まって、子供の生きづらさを描いていく。

湿地帯にある洋館が舞台となり、療養先の田舎の話なので全体的に落ち着いていてクールダウンできるため、夜に観るといいのかもしれない。プリシラ・アーンの主題歌を聴いた時、その曲調も相まって涼やかな気持ちになれることは請け合いだ。

夏だからこそ田舎描写や、スカッとしたものを観たいという気分もわかるし、夏だからこそ落ち着いた話を観て、その熱さとのギャップを楽しみたいということはないだろうか。その辺りを考慮して落ち着いた作品も多めにご紹介した。これはあくまで一例であり、それぞれの作品にいろんな面白さがつまっている。気になっている作品はどんどん観てしまおう。

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米林監督『メアリと魔女の花』も夏!

ご存知の人もいるだろうが、2014年いっぱいをもってスタジオジブリの制作部門が解体されたと当時ニュースになったが、今年5月に新たに宮崎駿監督が新作長編映画の作成を決め、ジブリにて製作復帰することが決まった。完成を楽しみに待ちたい。

ただ、ジブリで育まれた魂は、ジブリとは別のアニメスタジオで今年の夏、花が開く。ジブリ作品『借りぐらしのアリエッティ』『思い出のマーニー』にて監督を務めた米林宏昌監督による最新作『メアリと魔女の花』が、7月8日より公開となるのだ。

これはスタジオジブリではなく、新しいアニメーション映画制作会社「スタジオポノック」にて製作される。公式ページによると「米林宏昌監督の新作映画を作るため」設立されたスタジオとのこと。この夏、これまでのジブリ作品とともに、米林監督の新作に期待したい。

(文:aibon)


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