前回の記事の続きです。
△7七同飛成の周辺について、もう少し掘り下げてみます。
対戦相手の石田直裕五段は、将棋連盟モバイルの公式Twitterを担当しています。
対局の翌日に感想をツイートしていました。
ツイートを読み解くと、65手目▲6四歩に対する相手の考慮中に、石田五段は76手目△7七同飛成の筋に気が付いたようです。
藤井聡太七段はその▲6四歩を△同銀と取る手に20分以上考慮しているので、そこで気が付いたのでしょう。
どうやら、双方10手ほど前に気が付いていたようです。
△7七同飛成の手前で小考を繰り返していますが、さすがの藤井七段も飛車を捨てる手なだけに、繰り返し読みを確かめていたのではないかと推測します。
▲7二銀の両取りに、飛車をさばいて空をきらせるのは常套手段です。
とはいえ、実戦で気が付き、考え、指すのは大変で、藤井七段の△7七同飛成という好手とその構想には、感嘆せずにはいられません。
ネット上では、プロ棋士が感嘆ばかりでそれでいいのか、という声も見かけました。
でもファンの方と同様、プロ棋士も素晴らしい手に感動するのです。
そしてさらに言えば、
素晴らしいお手本に出会った!
次は自分がこの手を指すんだ!
そんな気持ちもそこにあるはずです。
石田五段のツイートで、
この段階で正確な速度計算に、凄みを感じました
とあります。
対戦相手に凄みを感じさせることが、勝負において有利に働くことは自明の理です。
それも藤井七段の強さの理由なのでしょう。
藤井七段の全局集には全59局が収録されています。凄みを感じさせられる対局が多く入っていることでしょう。
それではまた