【シャルルボワ(カナダ東部)=中山修志、白石透冴】8日の主要国首脳会議(シャルルボワ・サミット)の開幕を前に、トランプ米大統領と各国首脳がツイッターで舌戦を繰り広げている。マクロン仏大統領が「貿易戦争は誰の利益にもならない」と投稿したのに対し、トランプ氏が「欧州連合(EU)の貿易黒字は巨額だ」などと応戦。早くも前哨戦が始まっている。
マクロン氏は7日、議長国カナダのトルドー首相と会談後に共同記者会見に臨み、「孤立主義は米国を害する。トランプ大統領も分かっているはずだ」と米国をけん制した。自身のツイッターにもフランス語と英語で同様の内容を投稿した。
トランプ氏はこの投稿に「EUの貿易黒字は1510億ドルにのぼる。カナダは米国や他国の農民を排除している」と反発。「明日、彼らと会うのが楽しみだ」と対決姿勢をむき出しにした。
フランスは通商問題や気候変動対策などで米国との溝が深い。マクロン氏は会見で「全7カ国で合意する首脳宣言を追求しすぎて、中身をあきらめるようなことがあってはいけない」と述べ、今回のサミットで首脳宣言を出せない可能性に言及した。
マクロン氏は米国がEUやカナダに発動した鉄鋼・アルミニウムの輸入制限について「同盟国に貿易戦争をしかけるのは不適切だ」と批判した。トルドー氏も「私はカナダの国益を守るために主張してきたし、これからも主張を続ける」と同調した。
トランプ氏は地球温暖化対策のための国際枠組み「パリ協定」からの離脱を表明したほか、環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を決め、他の6カ国の主張とことごとく対立している。仏大統領府の関係者は6日、「パリ協定に言及しない首脳宣言を受け入れる用意はない」と記者団に語った。
首脳会議に先立って2日まで開いたG7財務相・中央銀行総裁会議では、議長が米国を名指しで批判する異例の展開となった。米国と他の6カ国の間の亀裂は鮮明で、首脳会議で合意点を見いだせるかは不透明だ。