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MicrosoftによるGitHub買収について次期社長に訊く(翻訳)

GitHubの次期CEOのNat Friedmanだけど質問ある?

RedditにGitHubの次期CEOであるナット・フリードマン氏が現れて、MicrosoftによるGitHub買収による影響についていろいろ答えてくれています。興味深い内容が多く、(彼の言う事を全部信じるなら)一部で出ている不安を緩和できるようなものでもあると思ったので、翻訳して紹介します。内容的に重要と思われる質問について、本人の発言のみをかいつまんでおり、ジョーク系のやりとりなどについては省いています。また、読みやすさのため、同じ話題についての複数の回答を適宜統合したりもしています。ご了承ください。

ソース: I'm Nat Friedman, future CEO of GitHub. AMA.

GitHubアカウントがMSアカウントになるの?

回答:我々はGitHubアカウントでのログインが大好きです。GitHubアカウントはみなさんの開発者としてのアイデンティティであり、(TravisやCircleなど)多くの開発者ツールやサービスにログインするときにGitHubアカウントを使うことに、多くのユーザは慣れ親しんでいます。もし何かあるとすれば、MicrosoftへのログインのオプションとしてGitHubアカウントが追加される、という決定ならあるかもしれません。

AtomとVisual Studio Codeはどうなるの?

回答:開発者は自分の開発環境にこだわりがあり、エディタ選びはそれぞれの開発者が行う最も個人的な選択行為です。開発言語が変わり、仕事が変わり、新しいマシンを手に入れてOSをアップグレードしたとしても、一度エディタを選んだら通常は何年もそれを使い続けて慣れていくものです。Atomのユーザからその選択権を奪うことは決してしたくありません。

Atomは魅力的なエディタであり、健全なコミュニティと熱心なファン、素晴らしいデザインを有し、リアルタイムコミュニケーションにも有望な進出を果たそうとしています。Microsoft内でもAtom、VS Code、SubliimeからVimに至るまであらゆるエディタが使用されています。開発者には自分の好きなエディタでGitHubを利用して欲しいと思っています。

従って、これからもAtomとVS Codeの開発とサポートは続けていきます。

VS CodeとAtomは既に大量の履歴とコードを共有しており、MicrosoftとGitHubは過去何年にもわたり基礎的な技術の部分でコラボレーションを行ってきました。

  • 一番わかりやすいところでは、我々は両エディタの共通の基盤であるElectronを共に開発してきました。Electronが発表された2015年(当時はAtomShellと呼ばれていました)から既に、MicrosoftはElectronの開発に関してGitHubと協力してきました。VS Codeが発表される以前の話です。それ以降もずっと、Microsoftは彼らのSlackチャンネルに入り、ハッカソンに参加し、Electronの主要な貢献者でありつづけています。Microsoftの他の多くの製品でもElectronを使っています。
  • 我々がVS Codeの一環として作成したLanguage Server Protocolを、Atom-ideも採用しています。これにより高度な言語機能をVS CodeとAtomとの間で共有できます。Atom-ideがサポートしている言語パックはすべてVS Codeと言語サーバを共有しています。
  • Atom-ideコミュニティはDebug Adapter protocolの採用についても検討しており、そうなればAtomとVS Codeの間で共通のデバッガサポートが実現します。
  • 最近ではリアルタイムコラボレーション機能の開発も楽しみにしており、Atom TeletypeとVS Code Live Share がプロトコルを合わせることで、いつかは両方のエディタを利用する開発者がリアルタイムに同じファイルを編集できるようになればと期待しています。

これまでのMicrosoftとGitHubとの数年間のコラボレーションによりこれら2つの愛されるエディタが誕生したことは素晴らしく、今後もこの実りある関係が続いていくことを期待しています。

(期間について) 両方のエディタについて健全なコミュニティが存在している限りはこの状態を続けるつもりですし、それはつまり、とても長い期間になるということでしょう。

GitLab等に移行している人達への考えは?

回答:開発者はそれぞれ独立した考え方、健全な猜疑心の持ち主ではあるのですが、開発者の一部がコードを移行することを強いられているように感じていることについては悲しく思っています。彼らの信頼を得ることが私の重大な責任です。

一方で、このようにリポジトリをすぐ移転できる柔軟性をgitが持っていることは素晴らしいことだと思っています。我々がオープンソースへのコミットメントを示し、GitHubをよりよい場所にすることができたあかつきには、過去数日で他のホスティングサービスを試した人々が再び開かれた心で我々のサービスに戻ってきてくれることを望んでいます。戻ってこなかったとしてもそれは彼らの権利ですし、我々を選ばないという開発者の選択を尊重します。

とはいえ、GitHubチームの報告によれば、移転したりアカウントを閉じたりした人の数は非常に少ないです。今週のGitHubへの新規登録ラッシュや引き起こされたGitHubへの興味の度合いは、それを補って余りあるものです。

この買収による将来的な変化は?

回答:我々がGitHubを買収するのは我々がGitHubを愛しているからです。現在のGitHubのロードマップを継続し、GitHubがGitHubとして良くなっていくようにするのが我々の現在のプランです。また買収は今年の後の方になるまで終わりません。それまでは2社は別会社であり、私もGitHubがやることについて影響力を持ちません。

GitHubに広告が出始めるの?

回答:いいえ。(歴史的な話をすると、GitHubが始まったころ、Sourceforgeがインターネット上では有力なホスティングサイトでした。その後Sourceforgeはメディア複合企業に買収され、広告を通じたマネタイズが強力に進められました。サイトはバナーとポップアップだらけになり、広告を見せるためにダウンロード速度が低下していきました。GitHubのクリーンなインターフェースと開発者中心のアプローチは部分的にはSourceforgeへの反発と見ることもできるでしょう。それが正しい道筋です。)

GitLabやBitbucketのような無料プライベートリポジトリをやる予定は?

回答:現時点ではまだ分かりません。

Microsoftと競合する会社のコードもGitHubにはあるはずだけど?

回答:Microsoftは10億人以上のカスタマーの秘密情報をホストしており、この責任を非常に重大なものとして捉えています。従業員によるプライベートリポジトリへのアクセスについて、GitHubは既にポリシーを有して管理しており、Microsoftの元でもこれまで同様に厳格に管理されます。

GVFSのクロスプラットフォーム化に関する予定は?

我々はWindowsチームがGitにスイッチできるようにするためにGVFSを構築し、それは上手くいきました(そうです、今ではWindowsはリーナス・トーバルズが作成したバージョン管理システムで構築されています!)。Windowsのコードベースは巨大(約300GB, 400万ファイル)であり、かつ活発に開発されています。Gitの多くの操作はこのレベルのコードベースでもリニアにスケールしますので、この極端なシナリオでより良くGitが動作するためにGVFSを開発しました。MicrosoftのOfficeチームの協力を得てGVFSのmacOS版の開発を既に始めています: https://blogs.msdn.microsoft.com/devops/2018/03/15/gvfs-for-mac/ . また実はLinux版のGVFSについてもGitHub社と協力して開発をしています(FUSEが使えればもっと楽なのですが残念ながらパフォーマンスが十分ではありません)。GitHubはこれについて人材募集をしていますので、興味があれば https://boards.greenhouse.io/github/jobs/1121642 をご覧ください。