健康被害の可能性があり、国が交換を促している上水道用の鉛製給水管(鉛管)使用世帯が、2014年3月末時点で香川の37.56%を最高に20府県で10%を超え、撤去が進んでいないことが4日、統計の分析から分かった。厚生労働省は水道事業の現状や見通しを示した04年の「水道ビジョン」以降、鉛管を「できるだけ早期にゼロにする」との目標を掲げているが、達成にほど遠い現状が浮き彫りになった。
日本水道協会の統計によると、全国に敷設されている鉛管は14年3月末時点で少なくとも総延長約5752キロに上り、約347万世帯が使用。協会が初めて全国調査した06年3月末時点の総延長約9597キロ、約509万世帯に比べ、いずれも半減すらしていない。
鉛が水道水に溶け出すと人体に悪影響を及ぼす可能性がある。鉛管はかつて広く使用されていたが、国は1989年、新設せず、既設管を塩化ビニールなど別の材質に交換していくよう各事業者に通知している。
給水管は配水管から各世帯に分岐する水道管で、鉛管は多くが私有地内にある。特に水道メーターと蛇口の間は水道事業者が管理しておらず、住民の自発的な交換に頼らざるを得ない状況で、行政側が計画的に関与しにくい要因となっている。
全国平均の使用率は6.96%。都道府県別では香川に次いで石川が25.16%、福井が22.16%と高い。最低は北海道の0.06%で、栃木の0.07%、沖縄の0.16%が続く。ただ調査対象の事業者1401のうち250が使用世帯数を「把握していない」とするなど全容は不明で、実際の割合はより高いとみられる。〔共同〕