週プレNEWS TOP ニュース エンタメ 『コードギアス』谷口悟朗監督が警鐘を鳴らす「アニメ業界の幼稚性はここまできた」

ニュース

最新ニュース

『コードギアス』谷口悟朗監督が警鐘を鳴らす「アニメ業界の幼稚性はここまできた」

[2018年06月07日]

NEW

―それで覚えているのは、『プラネテス』という作品はレンタルビデオ店でも「アニメが苦手な人にこそ観てほしい!」という推され方をしていて。後の『コードギアス』もそうだったんです。だから谷口監督には「アニメファン以外にも届く監督」というイメージを勝手に抱いていました。

谷口 ありがたかったのが、映像好きな人が『プラネテス』を評価してくれたんです。NHKさんでも年末の年越しプログラムで再放映していただいたりとアニメファン以外の評価が高かった。

―『プラネテス』は間違いなく名作だと思いますが、当時の評価はそういう感じだったんですね。

谷口 「なんでこんなに無視されるの?」と思ったくらいですから。脚本の大河内に賞ぐらいあげてやってくれよ、アニメーターたちだって評価してやってくれよ、と。

■未だ業界のアウトサイダー

―そういう状況にあって、それでも次の作品依頼があったわけじゃないですか。そこはどう捉えていらっしゃるんですか?

谷口 幸いにもアニメ業界の制作ではなく外部から評価をいただいたので、そこから声をかけていただいていることが多いんですね。『プラネテス』の後でいうと、この時、初めて一緒になったバンダイナムコアーツの湯川淳さんというメーカー側のプロデューサーの方が、私ともう1本やりたいと言ってくださった。それが『コードギアス』なんです。

―未だに業界のアウトサイダーというわけですね。それはご自身がアニメ少年ではなく、元々は実写志望だったことにも由来するのでしょうか?

谷口 そうかもしれないですね。もちろん、視聴者としてアニメは観ていたし、作る側に人並みの興味はありましたよ。ただ、「絵描きじゃないしな」ってところがあるわけです。一方で自主映画をやってみたり、演劇をやったりして、いつかは実写の現場に落ち着くんだろうなと思っていました。それでも、いざ就職となった時…「やっぱりアニメをやってみたい」となったんでしょうね。

しかも当時は、高畑勲さんや押井守さんといったアニメーター出身ではないのにアニメの監督をやって成功している例がいくつか耳に入ってくるわけじゃないですか。それで「やるだけやってみて、ダメだったら実写に戻ればいいじゃないか」という気持ちで入ったんです。

だからアニメ業界に対しては元々、外の人として来たという意識があるんですよ。加えて最初に入った会社がJ.C.STAFFといって、今でこそそれはもう立派な組織になりましたけど、当時は設立間もない無名の頃で雑草もいいところでした(笑)。

―最初は演出ではなく制作進行だったんですよね。

谷口 だから同世代のエリート監督とは全くキャリアが違うんですよ。しかもJ.C.STAFFにいても監督にはなれないとわかって、私はアニメ業界を1回辞めましたからね。実写に戻ろうか、知り合いがAVやっているからそっちでしばらく働いてみようとか考えたわけです。

そうしたらサンライズの内田健二さんから「制作として働かないか」と電話がかかってきて、「演出になれるんだったら行きます」と答えたんです。「確約はできないけれど、昇格試験を受けさせることはできる」という返事をもらって、そのままズルズル…という感じですね(笑)。

●この続き、第3回は明日配信予定!

(取材・文/小山田裕哉 撮影/山口康仁)

谷口悟朗1941

■谷口悟朗(たにぐち・ごろう)
1966年生まれ、愛知県出身。アニメーション監督、演出家。『コードギアス 反逆のルルーシュ』では監督・ストーリー原案・絵コンテを担当。監督としての主な作品に『スクライド』『プラネテス』『アクティヴレイド』『ID-0』などがある

■『コードギアス 反逆のルルーシュⅢ 皇道』は絶賛公開中! 詳細は公式サイトにて


ジャンプ50周年展VRはこちら!

連載コラム

Column

連載コラムを見る