(英エコノミスト誌 2018年6月2日号)

面接官はロボット? 人材探しにもAI革命の波

AIに関する討論会に登場したロボット(2017年7月12日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / ISAAC LAWRENCE〔AFPBB News

規模が大きく、カネがあり、パラノイアに駆られた巨大ハイテク企業は、いずれ挑戦してくるかもしれない若い企業を見分けて買収する助けになる大量のデータを持っている。

 これは典型的なスタートアップの物語だ。ただし、ひねりが効いている。

 20代の若者3人が2016年に、アルゴリズムを使ってメールへの返信を予測する目標を掲げ、マサチューセッツ工科大学(MIT)の寮の一室で会社を立ち上げた。

 そして今年5月、創業したイージーイーメールの資金調達を行っていたとき、グーグルがソフトウエア開発者向けの年次会議を開催し、イージーイーメールのものと似たツールを発表した。

 イージーイーメールのトップ、フィリップ・トワロウスキ氏はグーグルの侵略を、自分たちが価値のあるものを開発していることを裏づける「すごい確証」と見なしている。だが、「ちょっとしたショック」だったことも認めている。

 ベンチャーキャピタリストは巨大ハイテク企業が進出するかもしれない空間を避けようとする。そのため、グーグルの登場で、イージーイーメールの支援者候補が少なくとも1人、恐れをなして手を引いたからだ。

 新しいツールや機能、買収を発表するために開催されるグーグルの年次会議は常に「起業家の間に恐怖の衝撃波を走らせる」と、投資会社データ・コレクティブのパートナー、マイク・ドリスコル氏は言う。

 「ベンチャーキャピタリストはどの出資先企業が次に殺されるか見極めるために会議に出席する」

 だが、スタートアップ企業とその投資家が抱く巨大ハイテク企業に対する不安は、そうした出来事よりもずっと根深い。