世界経済、19年減速も 世銀「貿易制限リスク」

経済
2018/6/6 6:33
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 【ワシントン=河浪武史】世界銀行は5日改定した世界経済見通し(GEP)で、世界全体の2018年の成長率を3.1%とし、1月時点の予測を据え置いた。19年は3.0%、20年は2.9%と先行きは緩やかに減速すると見込んだ。米国が関税引き上げ策を発動して「貿易制限のリスクが増している」と指摘したほか、アルゼンチンなど一部の新興国市場も「脆弱だ」と不安視した。

 日本の18年の成長率見通しは1.0%で1月時点の予測(1.3%)から下方修正した。原油価格の上昇が個人消費を下押しすると指摘した。消費税増税の影響などで19年は0.8%、20年も0.5%と成長減速が続く。

 米国は大型減税と歳出拡大によって18年、19年とも成長率見通しを上方修正した。ただ、トランプ米政権は鉄鋼・アルミニウムに追加関税を発動し、貿易摩擦が強まっている。世銀は世界的な報復合戦になれば「世界貿易は08~09年の金融危機時のような落ち込みになる」と警告した。

 通貨急落に見舞われたアルゼンチンは成長率見通しを大幅に下方修正した。米国の利上げによってドル建て債務の返済負担が増す可能性があり「一部の新興国・途上国の脆弱性が増している」と警鐘を鳴らした。

 世界経済は08年の金融危機後、緩やかに持ち直してきたが、19年以降は徐々に減速すると分析した。「主要国の中央銀行が金融刺激策を漸進的に縮小する」と予測しており、先進国の成長率が19年は2.0%、20年も1.7%へと減速する影響が大きい。

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