世界初、結婚式ヘボコン開催!
私事で恐縮だが、先日結婚式を挙げた。式はつつがなく終了したが、二次会の余興としてヘボコンを開催したところ想像以上に盛り上がった。
名勝負の連発だったので、今回はその模様を紹介したい。 こんな私事を記事にしていいのか悩ましかったが、滅多にない体験だったので恥ずかしげもなく書きたい。 気持ちの上では一文ごとに「私事で恐縮ですが」と入れたいくらいなので、そのつもりでご容赦ください。
1987年兵庫生まれ。会社員のかたわら、むだなものを作る活動をしています。難しい名字のせいで、家族が偽名で飲食店の予約をするのが悩みです。
前の記事:「車屋にあるフラワーアーチは1万円で買える」 人気記事:「黒ひげを危機一髪から救った」 > 個人サイト むだな ものを つくる 二次会の余興を何にするかという問題これまで友人の結婚式に参加するなどしてきて、いざ自分の番になると悩んだのは二次会の余興を何にするか、だった。
ビンゴゲーム、はありきたりだしもうちょっとひねりたい。新郎新婦にまつわるクイズを出す、も良くあるがこれは恥ずかしい。だってプロポーズの言葉とか言わされるんでしょう。それだけは避けたい。 悩んだ結果、新郎の(つまり僕の)キャラクターなりが伝わるようなイベントがいいかなと思って出てきたのがヘボコンだった。 技術力の低い人限定ロボコン、通称ヘボコン。技術力の低い人が作ったロボット(と言い張っているもの)で戦うというものだ。 相手を押し出せば勝ちだが、そもそも動かなかったり明後日の方向に行ってしまったりと、勝ち負けよりもそのヘボさを愛するという、なんとも素晴らしいイベントである。 当サイトから生まれた名イベントで、海外でも多くの国で開催されている。 僕は工作が好きだし、イベント的にも盛り上がりそうだ。何より第一回ヘボコンに参加した身としてはちょうどいいのではないか。
記念すべき第一回ヘボコンに出場した僕のユズルロボ。強くもヘボくもないというなんともいえない結果で終わった。
そう思って恐る恐る妻に「ヘボコンをやるのはどう…?」と聞いてみたら、即座にOKが出た。なんなら「ヘボコンをやるのは」くらいで食い気味に「それだ!」という返答をもらった。理解のある妻で良かった。
せっかくヘボコンをやるなら…ということで、ヘボコンファウンダーである編集部石川さんに打診をしてみる。 ものすごい勢いでOKが出た。
「やばい」の3秒後くらいに「ぜひやりましょう」が来た。即断即決という粘土から神が作り給うた人間が石川さんに違いない。
ということで世界初の結婚式ヘボコンが開催となった。 開催決定が嬉しすぎて、石川さんに説明をするための企画書を作った。
開催、結婚式ヘボコン! 当日、結婚式ヘボコンはこんな感じで開催となった。
世界大会と同じく編集部の石川さん・古賀さんが司会。震えた。
すごい、高砂の前にヘボコンの舞台だ。改めて見るとこれは現実なのかという気持ちになる。
ルールは通常のヘボコンと同じ、そして出場するロボットのヘボさも通常のヘボコンと同じである。 出場者だけは僕の友人知人からお願いした。ヘボコン出ませんか、と妻の友人にいきなり聞くのは勇気が足りなかったのだ。 結婚式の余興でロボットを作ってきてほしいんですけど、という謎のお願いに喜んでOKを出してくれそうな4名の方々に出場してもらうことに。そしてそこに僕と妻を加えた6名で開催の運びとなった。 開催の運びとなったのはいいのだが、結婚式の準備は色々なことをしなくてはいけなくて、いざ本番直前になってヘボコン用のロボットを作るというタスクだけが完全に溢れ出た。もし今後結婚式ヘボコンを開催しようと思っている人がいたら注意してほしい。 それから忘れてはいけないが、結婚式ヘボコンはヘボコンでもあり結婚式でもあるのだ。ヘボコンだけに集中しまうと来てくれた人たちにハテナマークを残す可能性がある。 そこで、最もヘボいロボットを作った人を予想して事前に投票してもらい、当てた人の中から抽選で賞品を贈呈することにした。結婚式二次会の定番である、ビンゴゲームの代わりにヘボコンをやるのである。 出場者の紹介も兼ねて、投票箱を設置。どうにか結婚式の枠組みにヘボコンを紛れさせることが出来た。
結婚式ヘボコン、試合開始!それでは早速ロボットと試合の紹介をしたいと思う。
第1試合はいきなり僕のロボットが出場だ。「順風満帆ロボ」という名前にした。 前方についているのは住んでいる市のゆるキャラ、「やっち」である。かわいい。
扇風機から発生した風をプチプチの帆で受けて進むロボットだ。
しかし事前に家で試したら、扇風機の重みで全く動かなくなった。 なので、後ろから電車で押す方式を採用している。
写真を見返して気づいたのだが、風を受ける方向が逆だ。後ろ向きに進むぞこれ。
まぁ、どちらにしろ動かなくて電車のアシスト次第だからいいのだけれど。 対戦相手は普段制作会社でおしゃれな展示物などを作っている久我さんである。 トイザらスで買ったおもちゃを改造したとのこと。
会社の展示で使った光るケーブルが付いている。おしゃれ…。
光った姿がかっこよくて、会場からは歓声が上がった。ただ、それ以外にスイッチが押しづらいからといった理由で配線を外に引き出したりしている。不完全な改造手術を受けた姿に変わり果ててしまい、サイバーパンクさが出ているのが気になるところだ。 試合はただただ電車の押す力が強い、という結果に。電車だけでいいんじゃないのか、俺のロボ。
久我さんのロボットが球体のため、ゴロンゴロン転がっていってしまった。ロボット相撲に全く向いていない形をチョイスしたのが仇となった。
しかも元のおもちゃの機能で、動くかしゃべるかがランダムで決まるらしく、運の悪いことにしゃべるモードが発動したために自分からは全く動けずというヘボさが出た。 マイクを近づけると何かボソボソしゃべっていた。
衝撃の第2試合 第2試合は両者ともエンジニアで技術力がありそうな、同期の堀江くんと会社の先輩である朝日さんの対決となった。
堀江くんのロボット。紅白の幕がおめでたい感じだが、スプーンとフォークの無意味さがすごい。
対する朝日さんのロボットは風船が浮かんでいる。しかも2個。
こちらは試合の模様を動画でご覧いただきたい。
堀江くんのロボット(左)が俊敏に動く!俊敏すぎて時々場外に出ている気がする。
が、ここで朝日さんの風船を割るという攻撃(?)が炸裂!紙吹雪が中から舞ってめでたさが出ている。
しかし紙吹雪の正体は僕の顔だった。やばい。
試合は想像以上に機敏すぎた堀江くんのロボットが勝手に場外に出たため、朝日さんの勝ちとなった。
朝日さんは風船を割ることしかしていないが、見た目だけでなく音でも盛り上げたエンタメの塊のロボットであった。 ちなみに紙吹雪が舞った瞬間に僕は「あっ後の掃除が大変だな…」と関係ないところで心配してしまったが、これは余談である。 ヘボさの極まった第3試合 第3試合、こちらは打って変わってロボットとは無縁に過ごしてきた2人の対決、会社の同期の金井さん、そして妻である。
妻のロボット、カメ吉。タミヤのカメのロボットが一番作るのに簡単そうだったので選ばれた。出来合いのキットに紙をかぶせただけのロボット。
金井さんのロボットはやばい。まずでかい。あとくす玉が試合前にもう開いちゃっている。それからコントローラーが4つもあって、紙皿に固定されている。ワイルド。
技術力がないために簡単なキットにちょっとだけ装飾を施したロボットと、技術力がないために色々と盛り込んだ結果生まれたカオスなロボットの対決となった。ヘボコンならではのドリームマッチである。
こちらの試合も動画で。 大きさが違いすぎるが、まさかのカメが押し切る!金井さんのロボットはほとんどのタイヤが空転していて2輪走行になっていた。絵に描いたようなヘボがすごい…!
ヘボコンは大体いつも大きい方が勝つ(機能に関係なく単に重いから)傾向にあるが、まさかの予想を裏切ってきた。「タミヤのキットに変に手を加えないのが一番強いよね」という法則が発動した試合であった。 そして決勝へここまでで新郎・新婦それぞれのロボット、そして紙吹雪をばらまいて会場を騒然とさせたやばいロボットが勝ち上がった。
決勝戦はこれら3体での試合で一気に決着をつける。 朝日さんは先ほど割れた風船を補充してきた。準備が良すぎる…!
決勝の模様もまずは動画を見てほしい。
まず3体ががっぷり組む、その瞬間に朝日さんの風船が爆発!
するとカメが方向転換して2体とも押し出す…!
世界初の結婚式ヘボコンの優勝者は妻であった。
結婚式で新婦が勝つ、というある種理想的な展開となった。全員が出し切った感がある。
またヘボコンで最も価値がある、最もヘボかった賞は文句なしで朝日さんの風船ロボが受賞した。 決勝後、風船のひもに僕のロボの扇風機が絡まり2体が融合した。ほどくのに手間取り撤収に時間がかかるという最期もヘボさにあふれていた。
こうして結婚式ヘボコンは幕を閉じた。こちらが思っていたよりも盛り上がったし、ヘボコンを知らないはずの妻の友人たちも面白がっていたのが良かった。ヘボは人類共通の価値観だ。
ロボの集合写真を撮るとゴミっぽさが増すのもヘボコンのいいところ
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