自殺とみられるケイト・スペードさんの死「大きな衝撃」 夫が語る
米ファッションデザイナーのケイト・スペードさん(55)が5日にニューヨークの自宅で死亡しているのが発見され、現場の状況から自殺したとみられていることについて、夫のアンディ・スペードさんは、ケイトさんがうつ病と不安障害に苦しんでいたと明かした。
アンディさんは、ケイトさんが死の前夜にアンディさんや娘と話していた時には、「幸せそうだった」と述べた。
アンディさんによると、「ケイトさんが死を選ぶような、何の予兆も警告もなかった。大きな衝撃だった」という。
ケイトさんの死に、ファッション業界からも追悼の声が相次いでいる。
アンディさんは米紙ニューヨーク・タイムズに寄せた文章で、「娘と私は、ケイトを失い打ちのめされている。ケイトのいない人生を模索し始めることすらできない。深い悲嘆に暮れており、ケイトが恋しい」と述べた。
ビジネスパートナーでもあったアンディさんとケイトさんの間には、10代の娘フランセス・ベアトリクスさんがいる。
アンディさんによると、アンディさんとケイトさんは直近の10カ月間、「数ブロック離れた場所にではあるものの」別居していた。フランセスさんは両方の家で暮らしており、アンディさんとケイトさんは毎日、会うか話すかしていたという。
「我々は法的には離婚していなかったし、離婚について話し合ったこともなかった」とアンディさんは話した。「我々は親友で、知っていた限り最善の方法で、2人の問題に対処しようとしていた」。
アンディさんは、ケイトさんが定期的に医者の診療を受け、うつ病と不安障害に対する薬物治療に取り組んでいたと明かした。ケイトさんがアルコールやビジネスに関連する問題を抱えていたとのうわさは否定した。
米ニューヨーク市警は5日にケイト・スペードさんの出生名であるキャサリン・ノエル・ブロズナハンさんの死を確認した。
遺体発見時の状況
警察によると、ケイトさんは米ニューヨーク州マンハッタンのパーク・アベニューにあるアパートで、「反応がない」状態でハウスキーパーに発見された。
ニューヨーク市警のダーモット・シェイ刑事部長は、ケイトさんの発見現場でメモが見つかったと明かしたが、アンディさんは「残されていた何のメモも見ていない」と話した。
「ケイト・スペード」のこれまで
ファッション雑誌「マドモワゼル」の編集者だったケイト・スペードさんは、一連のハンドバッグの1990年代のファッション業界に旋風を巻き起こし、世界で数百の店舗を展開す装飾品帝国を築き上げた。
ケイトさんは1993年、アリゾナ州立大学でジャーナリズムを学んでいた時に出会い、パートナーになっていたアンディさんと、もう1人の友人エリス・アーロンズさんと共に、かばんブランド「ケイト・スペード・ハンドバッグ」を立ち上げた。
「ケイト・スペード・ハンドバッグス」は完璧なかばんのデザインを目指し、1996年にニューヨークに初出店。トランプのスペードをあしらった特徴的なロゴと明るくカラフルな模様をあしらったデザインは、ブランドのトレードマークになった。
スペードさんは2007年に自分の名前を冠したブランドを売却した。昨年には、米かばんブランド「コーチ」が24億ドル(2600億ドル)で買い取った。
その後、スペードさんはアンディさんと共に、娘の名前にちなんだ新たなブランド「フランセス・バレンタイン」を立ち上げている。
スペードさんは2016年、「2つの世界を分ける」ために自分の名前を正式にケイト・バレンタインに改名。バレンタインは、スペードさんの祖父のミドルネームだという。
誰かに助けを求めたいときは
日本では、厚生労働省所管の自殺総合対策センターが、「いのち支える相談窓口一覧」として、都道府県・政令指定都市別の相談窓口に関する情報を提供している。
NPO法人 自殺対策支援センター ライフリンクも、生きる支援の総合検索サイト「いのちと暮らしの相談ナビ」を開設し、様々な問題を抱える人たちがニーズに合わせて支援策を探し出すサポートを行っている。
一般社団法人 日本いのちの電話連盟は、インターネット相談のほか、ナビダイヤル(0570-783-556、午前10時から午後10時まで)、自殺を考えている人向けの相談電話(0120-783-556、無料、毎月10日の午前8時から翌日午前8時まで)で相談を受け付けている。
米国には、米国自殺防止ライフライン(1-800-273-8255)があるほか、支援が必要な若者向けに「キッズヘルプフォン」(1-800-668-6868)がある。
英国では「ザ・サマリタンズ」が自殺防止のための電話相談を受け付けている(116123)。
BBCも英国内を対象に、精神的に苦しんでいる人向けの情報をまとめたウェブページを公開している。
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