よいこのみなさんハロにちわ!さとる(@satorism0321)です。
映画ジャンルのひとつである、「戦争映画」。
映画という娯楽が世に登場して以来、さまざまな時代に起きた「戦争」が題材となって作られてきました。
でも、一口に「戦争映画」って言ってもたくさんあるわけで、今日は「これから見てみよう」って思ってる人にまずオススメする映画をご紹介。
今回は、そんなお話。
目次:
- 映画史に残る傑作。戦争映画はまずこれを見るべき
- さらっとあらすじ
- ハンクスはアカデミー主演男優賞3度目のノミネート
- デイモンはみんなの「嫌われ者」だった
- その他のキャストを一挙に紹介
- 徹底的に再現された「戦場」のリアリズム
- この映画の影の主役は「音」
- ぼくが見てもらいたいオススメなところ
- 最後に
映画史に残る傑作。戦争映画はまずこれを見るべき
『プライベート・ライアン』(原題:"Saving Private Ryan") / 1998年アメリカ
トム・ハンクス主演、スティーブン・スピルバーグ監督作品。
ナチス・ドイツによるホロコーストを主題とした映画「シンドラーのリスト」(1993年)で、念願のアカデミー作品賞を獲得したスピルバーグ監督による戦争映画。
インタビューにて「戦場の匂いすらも再現したかった」と語っていたように、徹底したリアリティと歴史考証を基にした圧倒的な完成度は世界中で絶賛され、第71回アカデミー賞11部門にノミネート、監督賞ほか5部門を受賞しました。
冒頭20分で繰り広げられる「オマハ・ビーチの死闘」は映画史に残る名シーンであり、「戦争映画」というジャンルを語る上では絶対に外すことができない名作。
また、彩度を抑えた色調も素晴らしい効果をあげていて、実際の戦場で撮影されたドキュメントを見ているかのようです。
3時間近い長さがある本作ですが、ぼくは当時劇場で鑑賞してド肝を抜かれました。
さらっとあらすじ
舞台は1944年6月6日、第二次大戦下のフランス・ノルマンディー。
この日はナチス・ドイツによる占領下にあったヨーロッパを解放するため、連合国による大規模な侵攻作戦(D-デイ)が開始された日。
後に「史上最大の作戦」と呼ばれ、”世界の命運を決した日”から映画は始まる。
オマハ・ビーチでの死闘の末、上陸を成功させたミラー大尉(トム・ハンクス)はある特殊な任務を命じられる。
それは、「ライアン4兄弟の末っ子を生きて本国へ送還せよ」というものだった。
ミラー大尉率いる8人の小隊は任務を全うすべく敵陣へと入っていくが、果たしてライアン二等兵を見つけることが出来るのか?
というのがざっくりしたあらすじ。
ライアン4兄弟のうち3人は戦死。
「3通の訃報が一気に届く母親の気持ち考えたらヤバくね?」ってことで、末っ子に帰還命令が出されるのです。
しかし、末っ子ジェームズはD-デイ決行前夜にフランスに降下した空挺部隊(パラシュート兵)に編成されており、その生死は不明。
いくら任務とはいえ、「生死すらも分からない」1人の若者のために命を賭けることに意義を見出せない小隊の面々。
葛藤や苛立ちを感じながらも、必死に「戦う意味」を見出そうとする物語なのであります。
ハンクスはアカデミー主演男優賞3度目のノミネート
主演は、「フィラデルフィア」「フォレスト・ガンプ 一期一会」でアカデミー主演男優賞を2年連続で受賞したトム・ハンクス。
本作「プライベート・ライアン」でもノミネートされ、3度目の受賞の呼び声も高かったが、結局この年は「ライフ・イズ・ビューティフル」のロベルト・ベニーニが受賞しました(こちらも第二次大戦を舞台にした映画ですね)。
この作品以降、タッグを組むことが多くなったハンクスとスピルバーグ。
映画はもちろん、本作で描ききれなかった第二次大戦の別の側面を描いた戦争ドラマの傑作、「バンド・オブ・ブラザース」や「ザ・パシフィック」も手掛けることになりました。
本作がノミネートされていた第71回アカデミー賞(99年3月)にてハンクスが主演男優賞を受賞出来なかった際に、映画評論家のおすぎ氏が「この人はもらいすぎなのよっ!」と言っており、それ以来ぼくはおすぎ氏が嫌いだったりします。
デイモンはみんなの「嫌われ者」だった
救出対象だったライアン4兄弟の末っ子・ジェームズ・ライアン二等兵を演じたのはマット・デイモン。
今でこそ超有名な彼ですが、当時はまだ新進気鋭の俳優といったところでした。
本作の前年である97年にベン・アフレックと共同で脚本を手掛けた「グッド・ウィル・ハンティング」で脚光を浴びます。
無名とはいえ、それ以前にはデンゼル・ワシントンとメグ・ライアン主演の「戦火の勇気」に、重要な役で出てたりもします。
本作におけるデイモンは「嫌われ者」でした。
クランクイン前、「戦場の兵士になりきるため」キャスト向けの新兵訓練が行われたのだけど、デイモンはこの訓練から”意図的に”外されていました。
過酷な訓練を経てキャストの間に連帯感が生まれる中、あとから事情を知らずに合流したデイモンは、「なんであいつは参加しなかったんだよ」と、みんなから嫌われてしまう形に。
これは、「生死も分からないヤツを命懸けで助けにいく」という劇中の憤りや怒りを表現するためだったそう。
結果的に現場はピリピリとしていて、雰囲気を作るのに功を奏したようです。
デイモンいい人なんだからイジめちゃダメですよ(笑)
その他のキャストを一挙に紹介
ミラー大尉の右腕となって活躍するホーバス軍曹役にはトム・サイズモア。
有名な俳優ってわけでもないけど、ぼくが個人的に好きなので紹介(笑)
戦争映画としては、後年リドリー・スコット監督の名作「ブラックホーク・ダウン」にも出演しています。
ずんぐりな体型で、一生懸命走る姿がかわいらしい。
「神に祈って撃つ」という敬虔な(?)クリスチャン狙撃手・ジャクソン役には、バリー・ペッパー。
ペッパーは翌99年の「グリーン・マイル」でもトム・ハンクスと共演。
クリント・イーストウッド監督による「硫黄島での戦い」を描いた2部作のうちの1作「父親たちの星条旗」にも出ていましたね。
精悍な顔つきがカッコよいですね!
小隊唯一の黒人兵士・カパーゾ役にはヴィン・ディーゼル。
当時はまだ無名でしたが、この後に「トリプルX」や「ワイルドスピード」などのヒット作に出演します。トム・ハンクスやマット・デイモンを除けば、小隊一の出世頭になりましたね。
気の弱いアパム伍長を演じたのはジェレミー・デイヴィス。
特に有名な俳優さんではないですが、日本では某掲示板あたりで有名なので(笑)
「弾持って来い!」って言えば、それはアパムの仕事なのである。
徹底的に再現された「戦場」のリアリズム
本作の特筆すべきポイントは、なんといってもリアルに再現された「戦場」でしょう。全編を通して「観客を戦場のど真ん中に叩き込む」を意識したリアリズムが素晴らしいです。
時代的なこともあるのでしょうが、CGを使っていません(一部ありますが)。
画面奥で吹っ飛んでる兵士も、出てくる兵器も、破壊された街並みも、すべてそこにあるもの。
「本物」がもたらす説得力は、CGでは決して越えることはできないと本作が証明しています。
また、冒頭のオマハ・ビーチへの上陸を始め、戦闘シーンではハンディカムを多用した撮影が行われました。
カメラマンも俳優と同じように戦場を走り回って撮影されたため、観客は兵士の目線にとても近い状態で映画を見ることになり、あたかも「自分が戦場にいるような」錯覚さえ覚えるほどの迫力となりました。
ハンディカムによる手ブレは本来避けたいものですが、本作では臨場感を高めるのに一役買っています。
戦闘描写も容赦がありません。
「銃撃を受ければ血が出る」、「爆弾にあたれば手足が吹っ飛ぶ」。
この映画では、そんな当たり前のことを当たり前に、包み隠さず描写しています。
キャストたちは死屍累々とした戦場を走りぬけ、文字通り血の海を泳ぎます。
過激な暴力描写に慣れていない方は注意が必要だけど、「戦場という非現実的な空間で何が起きているのか」、また「平和とはいったいなんなのか」を理解するためにもしっかり見て頂きたい。
「自分の子どもをこんな戦場に送ることが出来るのか?」
そう考えただけで、平和な世界を願わずにはいられないでしょう。
この映画の影の主役は「音」
本作の世界を盛り上げる、名脇役「音」のお話を少し。
この映画はとにかくサウンドデザインが秀逸。
まず、キャストたちが使用する武器。
これは実物の銃の発砲音を録音したものが使われています。
キャストたちの発砲シーンもとてもリアルで、本当に撃っているかのような迫力。
ハンクス演じるミラーが使用するトンプソンや終盤のコルトM1911など、マニアにはたまらんでしょう!w
また、最後の攻防に登場するドイツ最強の重戦車「ティーガー」(劇中では英語読みの「タイガー」と呼ばれます)。
CGではなく実物が走り回るものだから迫力はすごいものです。
本物のティーガーではなく、旧ソ連の戦車をベースに作られたものなので、足回り(起動輪など)が異なります。
でも、そんなマニアックなことどうでもいいくらいの説得力です。
終盤の攻防戦が始まる際、このティーガーが近づいてくる「音」の表現がとても素晴らしい。
キュラキュラキュラ・・・と少しずつ近づいてくるキャタピラの音。それに伴い、振動する地面。「音」がもたらす緊張感は本当にすごいの一言。
「ジョーズ」や「ジュラシック・パーク」よろしく、スピルバーグ監督はやはり「音の使い方」が上手いなぁと感じさせられるところです。
ぼくが見てもらいたいオススメなところ
全体のほとんどが戦闘シーンであり、その凄さについてはほかのレビューサイトなどでも語りつくされてる感はあるので、ぼくは敢えて違うところをピックアップしてみる(笑)
ぼくが好きなシーンのひとつは、ジェームズを除く3人の兄弟の戦死を告げるシーン。
3時間近くある中で唯一戦場のシーンではないが、本編中で最も悲しい場面だと言えると思う。
ライアンの母は、遠くから家に近づいてくる軍用車の存在に気付く。
家の壁には戦死者が出たことを示す旗が掲げてあることから、おそらく夫も戦死したのだろう。
そして、バックショットのみで撮られるこのシーンへと続く。
「兄弟の誰かが死んだのだ」。そう悟った母はよろよろとその場へ崩れ落ちてしまう。
なんのセリフもない。母の顔を映すショットもない。映るのは背中のみ。
にも関わらず、母の絶望と深い悲しみが痛いほど伝わってくる名シーンだ。
邦画ならば感動的な音楽とセリフをもって、泣き叫ぶシーンを延々と演出するだろう。
しかし、本作にはそれがまったくない。
だからこそ、このシーンは本当に美しい。
戦争がもたらす残酷さ、深い悲しみ、絶望、そして母としての感情。すべてがこの短いショットに詰まっている。
母の愛を語るのに、言葉は不要なのだ。この演出に、ぼくはスピルバーグ監督は本当に天才だと感じました。
さすが、宇宙人と友達なだけはある(=ω=)
最後に
第二次大戦から70年以上を経た現在でさえも、世界から紛争はなくなっていません。
「戦争とは何か、平和とは何か」を考えるために、もし、あなたが本作を未見であるならば、ぜひとも見てもらいたい一本。
また、スピルバーグ映画と言えば、彩りを添えるのがジョン・ウィリアムズによる音楽。彼が作曲し、この映画のメインテーマでもある「Hymn to Fallen」(「戦没者への賛美歌」とでも訳すのがいいのかな?)はとても美しい曲なので、ぜひエンドクレジットまですべて見て頂きたいと思います。
この記事を執筆した2018年6月現在、Amazonプライムでも視聴できるので、ぜひご覧くださいませ。
※余談ですが、本作のタイトルは直訳すれば「ライアン二等兵を救え!」って感じになります。
この意味での「private」は「私的」ではなく、軍隊の階級である「二等兵」を意味します。
今回はこのへんでおしまいっ!楽しんでもらえたら幸いです^^
それではまたーーー!
★ 読者になってくれるとすごく嬉しいです^^ ★