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インフレ率の再低下は日銀の「量的緩和の限界」を示すのか

「ディビジア指数」で検証すると

日銀による国債購入の意味

日本のインフレ率が再び低下し始めている。

全国ベースの消費者物価指数をみると、4月時点の「生鮮食品及びエネルギーを除く総合(いわゆるコア・コア)指数」は前年比+0.4%と低下に転じた。全国ベースの先行指数的な意味合いを持つ5月中旬時点の東京都区部の同指数は前年比+0.2%とゼロ近傍まで低下している。

日銀は、足元の原油価格上昇や円安から先行きのインフレ率は上昇に転じると予想しているようである。だが、原油価格や為替動向は、マーケットで決まるもので先行きがどうなるかの予測は極めて困難である。

そもそも予測が困難なマーケット変数の足元の状況を先延ばしして楽観的なインフレ見通しを表明したところで、信頼性もないし、インフレ予想の「レジーム転換」はおぼつかないのではなかろうか。

このような状況の中で、日銀の「量的・質的緩和政策(QQE)」の限界を指摘する声がこれまで以上に高まっている。また、これまで行ってきた緩和政策、特に国債購入による「量的緩和(Quantitative Easing)政策」の効果すら疑う声も高まっている。

 

2014年の消費税率の引き上げまではインフレ率はそれなりに上昇していたことを考えると、少なくとも2013年4月の最初の「QQE政策」は効果があったと考えられる。だが、その後の追加緩和において、日銀は、「量」の側面から徐々に距離を置き始めているようにみえる。

これに対して、まだまだ国債の購入の増額も可能であるし、「量」を拡大することにも依然として重要な意味があるとの意見も、「リフレ派」を中心に根強く残っている。

一方、「量的緩和限界論」もいろいろなバージョンがある。例えば、債券市場参加者らの間では、そもそも日銀が市場から国債を購入すること自体ができないのではないかという見方もあるようだ。だが、4月末時点で、国債発行残高に占める日銀の保有シェアは約46%である(振決国債ベース)。しかも、残存10年超に限っていえば、日銀の保有シェアは30%強となっている。

もし、日銀が残存10年超の国債のシェアを50%にするのであれば54兆円程度、シェアを70%にするのであれば110兆円程度の国債を追加購入することが数字上は可能となる。日銀が「その気になれば(追加購入の仕組み作りを行うことを含め)」、ここから「量」を増やすことはある程度可能ではなかろうか。

だが、問題の本質は、国債の追加購入の余地ではなく、単純に国債の購入によって「量」を増やしたところで、当初のQQE政策のような効果をもたらすことができるか否かではないかと考える。

言い換えれば、「質」を考慮した場合、日銀による国債購入はどうなっているのかが問題である。つまり、日銀の国債購入については、オペによる購入「量」だけをみるのではなく、同時に、その「質」をチェックしなければならない。

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