東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 政治 > 紙面から > 6月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【政治】

セクハラ対策尻すぼみ 政府は法整備先送り、課題残す

 前財務次官ら官僚によるセクハラ問題が相次ぐ中、政府は野田聖子女性活躍担当相が意欲を示した法整備の結論を先送りにした。緊急対策として新たに幹部職員への研修義務付けなどで防止を図る。尻すぼみの状況となり、野田氏が盛り上げたセクハラ対策強化の流れを、政府が今後どう生かすのかという課題は残ったままだ。

 民放女性記者に対する前財務次官のセクハラ疑惑が判明したのは四月中旬。直後から野田氏は、財務省が同省の顧問弁護士に調査を委託したことを非難するほか、防止対策の検討を表明した。四月下旬には「法律を作り替えるのか、新法を作るのか、いろんなやり方がある」と法整備の必要性に言及。五月には「(法律に)罰則や罰金が必要であれば、検討していけばいい」と踏み込み、「女性記者に実態や意見を聞きたい」と懇談会を開くなどした。

 ただ、職場でのセクハラ防止のための男女雇用機会均等法を所管する厚生労働省では当初から「野田氏は思いが先行し、具体的な対策は打ち出せないのではないか」との見方が広がっていた。

 加藤勝信厚労相は国会答弁で、事業主による防止措置を義務付けている均等法の性格から「行為者に刑事罰というのはなじまない」と慎重姿勢を示した。与党議員も「刑法で罰するとセクハラの認定範囲が狭まり、逆に被害者が保護されにくい恐れがある」と指摘していた。

 結局、安倍晋三首相の指示を受けた形でまとまった緊急対策案は、研修を通じた官僚の意識改革が主な内容になった。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】