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 「異能」ともいえる際立った能力や実績を持ち、まわりから一目置かれるエンジニアを1カ月に一人ずつ取り上げ、インタビューを掲載する。今月取り上げるのは、テスト駆動開発(TDD)の日本での第一人者として知られる和田卓人氏。JavaScriptのテストフレームワーク「power-assert」の作者でもある。今回は、転機になった「チーム角谷」への参加からJavaScriptに関わるようになった経緯などを聞いた。

(聞き手は大森 敏行=日経 xTECH/日経NETWORK


前回から続く)

 永和システムマネジメントに誘われる形で、2004年7月から同社の受託案件の開発チームに参加することになりました。当時は永和の社員で積極的にコミュニティ活動をしていた角谷信太郎さんのチーム、いわば「チーム角谷」です。それまで在籍していた数千人規模の電子政府のプロジェクトから、4人だけのチームに移ることになりました。

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 初日にチームの顔合わせをすることになって現れたのが、角谷さんと芦沢嘉典さん、本間宏崇さんです。芦沢さんと本間さんは永和とは別の会社の同僚でした。どの方も自分の中ではアイドル級の有名エンジニアで、ものすごく動揺しました。

 芦沢さんは、Javaのオープンソースソフトウエア(OSS)関連の翻訳をしていて、とても有名な方でした。本間さんははてなダイアリーで技術メモの日記を書いていました。自分は角谷さんの日記と本間さんの日記の読者でした。

 その状況に強く衝撃と影響を受けて、その日のうちに「t-wada」というIDのはてなアカウントを取って「t-wadaの日記」というはてなダイアリーを始めました。その日の日記が今も残っています。現在は「t-wadaのブログ」というはてなブログで情報を発信していますが、はてなブログに移行する際にあえてはてなダイアリーのデータはインポートせず、そのまま残しています。

 このチームで開発していたのは、ざっくり言うとEJB(Enterprise JavaBeans)で動くワークフローエンジンです。顧客から「フルスペックのエクストリーム・プログラミング(XP)で開発してほしい」という要望を受けたプロジェクトだったので、そのチームにXPのコーチとして参加しました。計画ゲームやペアプログラミング、テストファーストプログラミングといったXPのプラクティスはすべて実践しました。自分自身、フルスペックのXPを実践したのはチーム角谷が初めてです。