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 慶応義塾大学と小田急電鉄、小田急グループのバス大手である神奈川中央交通(神奈中)の3者は2018年6月6日、慶大湘南藤沢キャンパス(SFC、神奈川県藤沢市)の構内で自動運転バスの実証実験を始めた。ソフトバンクグループで自動運転技術を手がけるSBドライブが協力。日野自動車の「ポンチョ」をSBドライブが改造した小型バスが走った。

自動運転バス車内でハンドルから手を離す運転手の様子
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 同日、報道陣や在学生を対象とする試乗会を開いた。神奈中の通常路線バスなどが通るSFC構内の車道約500メートルを途中のバス停に止まりながら走行した。

 運転手が席について常時監視するものの、ハンドル操作や加減速操作はしない「レベル3」の自動運転で走行。運転手がハンドルから手を離したままで、バス停で縁石の近くに寄せて自動停止した。

自動運転バスがバス停に停車する様子
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バス停では自動的に縁石に寄せて停車する。このバスは扉が外に開くタイプであるため、車体と縁石の間に少し距離を取る
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 神奈中の大塚英二郎経営企画部事業推進グループ課長は「現状では、安全性や運賃収受などで課題が残る。一方で、我が社でも運転手不足は深刻で、自動運転バスに期待している。運賃収受がない駅・事業所間の従業員専用バスや、安全性を確保しやすい工場構内バスなどでは比較的導入しやすそうだ」と説明した。

 技術面ではSBドライブが沖縄県での実証実験などを通じて検証済みの枠組みを活用し、今回新たに検証する事項はないという。

 ただし「技術が確立しても、お客様に受け入れてもらえなければ利用されない」(神奈中の大塚課長)。鉄道駅が近くになく、学生の多くが神奈中バスで通学するSFCで実証実験することで、自動運転バスに対する認知を高める狙いがあるとする。

 実証実験は6月10日まで。6月10日には、慶大・小田急・神奈中が主催する一般公開イベント「次世代モビリティフォーラム」をSFCで開催。SBドライブのバスに加えて、トヨタ自動車の乗用車「エスティマ」を慶大の大前学研究室が改造した自動運転実験車も走る予定だ。