(cache)「老人がいい味を出している映画は名作が多い」説

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※独居老人のイラスト/いらすとや

老人がいい味を出してる映画はいい映画が多い。

たとえば黒澤明の「生きる」
あれも志村喬だからこそ。
ブランコに揺られてゴンドラの唄を歌う名シーンは、哀愁と共により一層沁みる。
ジャッキー映画も数あれど、赤鼻した酔拳の師匠くらいいい味のじじいキャラは他になかなかない。

以下、老人がいい味出してる映画を思いつくまま幾つか。

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推手

「老人がいい味を出してる」と言うと真っ先に思いつくのがアン・リーの父親三部作。

ハリウッドでも「ブロークバック・マウンテン」や「ライフ・オブ・パイ」で評価されたアン・リーの初期作には、どれも共通してラン・シャン演じる父親がいい味を出していて、父親三部作と呼ばれている。
奔放な三姉妹の父親役を演じた「恋人たちの食卓」に単館系で異色のヒットとなった「ウェディング・バンケット」での全て悟ったような父親役はまさに松竹新喜劇の世界。

中でもアメリカで働く息子の元へ中国からやってきた太極拳師範の父親が、嫁と上手くコミュニケーションを取れず巻き起こす嫁舅騒動を描いた「推手」
小品ながらもラン・シャンのキャラクターが前面に出ていて、いぶし銀な演技が光ってる。

タイトルにもなっている推手は太極拳の練習法。
お互いに手を合わせ、力を入れすぎても引きすぎても上手くバランスが取れない。
人間関係の難しさを暗喩させるいいタイトル。

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悪魔のいけにえ

「悪魔のいけにえ」といえば、当然ながらチェーンソーを振りまわすレザーフェイスが印象的。
ですがレザーフェイスを擁する殺人鬼一家にはおじいちゃんがいるんですよね。
ジェイソンはもう人間を超越してますが、レザーフェイスは家族もいる人間。
かわいい孫なんだろうなぁ……。

車椅子に座り、ほぼ死にかけのおじいちゃん（ミイラみたいなルックスで死んでるかと思ったらナイフで切った血の出る指をチューチュー吸うんですわ）にハンマー握らせ、家族みんなで「おじいちゃんガンバレ！（一発殴って！）」って家族愛満載のシーンは、あの映画におけるグロテスクな笑いのフック。
おじいちゃんの存在により、殺人一家は伝統なのが暗に示される。

40周年記念版もAmazon Prime対象枠なんで是非是非。

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マーターズ

暗黒グロ映画「マーターズ」にも老人が登場。
命にしがみつき、権力も力も得た老人だからこそグロテスクな幻想に取り憑かれ少女が蹂躙される。
この映画における老人は、人間の醜悪さの象徴。
ネタバレなんで多くは書けませんが、サングラスかけた老婆がいい味出してる。

ちなみに Amazon Primeで観れる「マーターズ」はハリウッド駄リメイクなのでぜひオリジナルをどうぞ。

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パリ・テキサス

去年91歳で亡くなったハリー・ディーン・スタントンが、ダメ男役を演じたヴィム・ヴェンダースのロードムーヴィー。
当時50代後半だからそこまでじじいじゃないかもしれないが、見た目が老けてるんで（吉本新喜劇の井上竜夫みたいな）妻役のナスターシャ・キンスキーとの落差がすごい。
何も語らず、内に熱い気持ちを秘めた寡黙なハリー・ディーン・スタントンの存在がこの映画に厚みを与えている。

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