萩野公介(東洋大)や入江陵介(イトマン東進)ら、トップスイマーが熱戦を展開した競泳の日本選手権で、「トリトンブルー」の水泳帽子をかぶった選手がひときわ目を引いた。新たに全日本空輸(ANA)所属の背泳ぎ選手として出場した22歳の松原颯(はやて)だ。日本オリンピック委員会が取り組むスポーツ選手の就職支援事業「アスナビ」を利用し、競泳選手として初めて入社。今回は日本代表入りを逃したが、「日本代表になって世界に羽ばたきたい」と意気込む。

 奈良県出身。先に水泳教室に通っていた兄2人の影響もあり、3歳で水泳を始めた。2012年ロンドン五輪最終選考会を兼ねた日本選手権には法大で出場。男子200メートル背泳ぎでは日本水泳連盟が定めた派遣標準記録を突破したが、この種目は入江らがひしめく激戦区。4位で五輪切符を逃した。

 五輪後の日本学生選手権では、背泳ぎで100、200メートルの2冠。卒業後は社会人スイマーとして次の五輪を目指す目標も定まった。だが就職活動は苦戦。アスリートとして実績を評価してくれる企業はあったが、競技との両立は難色を示された。そんな時、アスナビを勧められた。

 松原は昨年6月、アスナビのイベントで企業相手に熱弁。16年リオデジャネイロ五輪出場への思いを語った。そうした松原に興味を持った企業の一つがANA。「『努力と挑戦』をグループ行動指針に掲げる自社にマッチするほか、社会貢献や社員の連帯感醸成にもつながり、採用を決めた」(ANA広報部)。当面は競技優先を許され、法大のプールを拠点に練習。13日の日本選手権200メートル背泳ぎは入江が優勝、松原は4位だった。

 ANAは卓球の福原愛やフィギュアスケートの羽生結弦(ゆづる)と所属契約を結んでいるが、社員として活動するのは松原だけ。「会社の支援はありがたい。これからも成長していきたい」と松原。世界行きへのチケット獲得を目指す。【芳賀竜也】
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