(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年6月4日付)
イタリア首都ローマの大統領官邸で新内閣の宣誓式に出席したセルジョ・マッタレッラ大統領(左)と、ジュゼッペ・コンテ新首相(2018年6月1日撮影)。(c)AFP PHOTO / Alberto PIZZOLI / ALTERNATIVE CROP 〔AFPBB News〕
欧州統合を信仰の実践として扱うヨーロッパ人があまりに多いのは、嘆かわしいことだ。
ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)の議論は、EUびいきの真の信者を懐疑的な無神論者と対立させる。我々が2度目の国民投票とハードブレグジットという同等に馬鹿げた2つの提案について話し合っているのは、そのためだ。
イタリア人は自国のユーロ加盟問題を、これと同じように扱っている。
人はこの陣営に属するか、あの陣営に属するか、どちらかだ。筆者のように、その中間のどこかに立つ人間がいると、人々は困惑する。
イタリアのように苦しんでいる国は、関係が持続可能だという望みがほんのわずかでもある限り、ユーロ圏内にとどまることが妥当だと筆者は考えている。
現在のナショナリストの反発を引き起こしたのは、欧州統合とEU加盟を無条件に支持するイタリアの過去の指導者たちの姿勢だ。歴代の政府は、イタリアの国益に著しく反する欧州法を受け入れてきた。
まず、EUの救済の傘となる「欧州安定メカニズム(ESM)」に対するイタリアの貢献を、最大限許される財政赤字の計算に関係する要素として数えるルールがあった。
そして、何千人ものイタリアの預金者が保護の対象外とされた銀行破綻処理法の受諾があった。