豪雨犠牲の職人の「みの」完成
九州北部豪雨で犠牲になった朝倉市の職人が作り続けてきた、シュロを使う地元伝統の「みの」を、遺志を受け継いだ有志が完成させ、お披露目されました。
去年7月の九州北部豪雨で亡くなった朝倉市杷木松末の井上輝雄さん(当時89)は、生前、地元伝統の獅子舞で使われる「みの」を作り続け、県から、文化財の保存に欠かせない技術を持つ「選定保存技術保持者」に認定されていました。
「みの」は、シュロを編み上げる伝統の手法で作られ、長さは2メートル以上、重さは13キロほどあり、獅子の胴の部分に使われます。
井上さんの遺志を引き継ごうと、生前、直接、みのづくりの指導を受けていた地元の保存会のメンバー8人が、去年10月以降制作を続け、この度、完成させました。
30日は、朝倉市の美奈宜神社で、制作を依頼した久留米市田主丸町の「獅子舞保存会」の人たちに「みの」が引き渡され、頭の部分を取り付けたあと、境内で実際に「みの」をかぶって動きを確かめていました。
制作に関わった美奈宜神社の宮司の内藤主税さんは、「無事完成し、井上さんも天国で喜んでいると思います。井上さんから教わったことを次の世代にしっかりと受け継いでいきたい」と話していました。