「医療×ブロックチェーン」の絶大なメリット

「医療IT革命」から始まる患者ファースト主義

ブロックチェーンで医療の未来が変わる(写真:beer/PIXTA)

ビットコインに代表される仮想通貨の基盤技術として知られるブロックチェーン。近年ではフィンテック以外にも、音楽・絵画などの著作権管理、土地取引、フェイクニュース対策など、さまざまな分野で応用されている。そして今、医療分野への応用が大きな期待を集めている。

日本では現在、病院に訪れた患者の情報を電子管理するのが一般化している。ただ、その情報は医療機関によって管理され、自分の医療情報を手に入れる場合には、わざわざ診療情報提供料を数千円支払わなければならない。

仮に情報を手に入れられても課題は残る。

患者の医療情報は、医療機関がそれぞれ、独自のファイル形式で作成しているため互換性が欠如している。これでは、患者が情報を受け取って別の医療機関に提供したところで、共有・連携がうまくいかない。

医療機関の持つデータは、患者の同意を受けたあとは患者の意思に関係なくやりとりされ、ビッグデータとして売られている場合もある。

そこで筆者は、患者が自分の情報を自由に扱える仕組みを探した。それを実現してくれる技術が、ブロックチェーンだった。

ブロックチェーンがセキュリティを担保する

医療分野におけるブロックチェーンは2017年、世界最大のヘルスケアIT会議「HIMSS」で一気に注目された。4万3千人が集まった2018年のHIMSSでは、人工知能(AI)、ビッグデータ、Internet of Things(IoT)と並ぶキーワードになり、ブロックチェーンに関して多くのセミナー発表があった。

医療情報が標準化され、個人による情報管理が可能なプラットフォームが構築されれば、自分の医療情報を自分で活用するという当然の権利が保障される。患者が健康だった当時のデータを主治医に渡したり、転院先の医師に転院前の情報を提供したりすることだって可能となる。

病歴を含む患者の個人情報を登録する際には当然、セキュリティの堅牢性が重要視されるだろう。この点、ブロックチェーンならクリアできる。

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  • NO NAME5b9707dcedb4
    病院ごとにバラバラになっているカルテを全国で統一して、薬の有効性なども共有化できれば、無駄な医療がかなり減るのでは。ブロックチェーンじゃなくても構わないが、それを口実に話が進むのであれば、さっさと進めるべき。このシステムにデータを上げない病院は保険適応外にするぐらいの勢いでやらないと。
    up32
    down0
    2018/6/6 08:51
  • NO NAMEec0f42d9aeac
    まず診療報酬をブロックチェーン化しては?
    というか、介護・年金・生保・補助金助成金税金等、
    自治体が関わるカネ全てですね。
    up7
    down0
    2018/6/6 11:22
  • NO NAMEc041d275424d
    ブロックチェーン技術は利用しなくても、カルテの規格の統一化、オンラインでの相互利用可で機能的には十分ではないでしょうか?
    費用対効果の観点から、ブロックチェーン利用のためのシステム構築費、管理維持費のについての情報が知りたい。仮想通貨の運営のため、膨大な数のコンピューターとそれは動かすための膨大な電力が必要と聞いておりますが。
    up9
    down3
    2018/6/6 11:24
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