政治分野をテクノロジーで解決する19歳学生起業家|PoliPoli伊藤和真さんインタビュー

編集部

　PoliPoliを始めようと思ったきっかけはありますか？

伊藤和真さん

　政治の分野での問題を解決するスタートアップが無いと感じていました。またアメリカやエストニアでは、国へ展開する「PoliTechスタートアップ」があるけど、日本ではそういったスタートアップがないと思ったのです。
　調べてみると政治の市場は、数兆円規模だったし、日本でPoliTechをやろうと思ったのが最初のきっかけです。そこで多くの方に自分のやりたいことを伝えると、『政治分野はやめといたほうがいい』と言われ、「そうなのかな」と自分自身思っていました。

反対の声もありましたが、どうやってPoliPoliリリースへ繋がったのですか？

伊藤和真さん

　自分がもともとiOSエンジニアだったため、一度アプリを作ろうと思い、2017年11月に千葉県市川市の市長選挙のためにβ版をリリースし、全候補者の方に使っていただきました。するとメディアに取り上げられ、多くの方に使ってもらい、良い評価をいただきました。
　政治分野でのストレスは、自分以外にもいるのだと確認でき、最大の目的だった仮説検証が行えたのが良かったです。それと同時に、ビジネスモデルが無いと思いました。

編集部

ではそこからどのようなビジネスモデルを成り立たせようと思っていたのでしょうか？

伊藤和真さん

　もともと僕は、ブログ記事や写真の投稿によって報酬を得ることができ、ブロックチェーン技術を元にした”トークンエコノミー”である steemit に注目していました。いい記事だと1記事あたり数万円もらえることが、夢物語ではなく僕にも同じようなことができるのでは無いか思っていました。そして、政治分野にトークンエコノミーを掛け合わせれば面白いと感じ、今年の2月末に起業しました。

編集部

PoliPoliというサービスを初めて知る方でも分かるように説明をお願いします！

伊藤和真さん

　簡単に言うと、政治家さんとユーザーが良いことを発言するとトークン（お金）がもらえるサービスです。政治家さん側は、新しい個人献金の形であり、ユーザー側は政治的に良い発言するとトークンがもらえるようにゲーム感覚で議論が行えます。　
　また、政治分野での一番の課題は、いろいろな主義主張があることで荒れるということです。　
　「PoliPoli」では、発行したトークンがあることで、誹謗中傷をした発言者は評価が下がり、トークンが減少します。トークンというインセンティブを付与することによって、必然的に荒れないコミュニティー・質の高いコミュニティー作りが可能になります。そういったサービスを「PoliPoli」は目指しています！

編集部

政治分野でサービスを行う上で大切なことを教えてください。

伊藤和真さん

　僕は、もともと一般的な選挙知識で選挙にとりあえず行こうという人でした。主義主張も持っていないのですが、その視線で「PoliPoli」というサービスをできることはすごい良いことだと思っています。なぜなら、客観的な視点で行えるからです。
　また、政治分野でサービスができる人は限られていると思います。まず、テクノロジーに関心のあるベンチャ起業で、なおかつ主義主張を持たない変わり者であること。さらに、政治家さんが協力してくれる若い人が良いと思っています。そして、大企業も参入しにくい分野でもあります。なので、僕が「PoliPoli」というサービスを行う必要性があるのかなと思っています。

編集部

日本の政治家の課題は何だと思っていますか？

伊藤和真さん

　問題は山積みです。
　僕は、政治サービスを作る上でネット選挙の課題などの論文を読んだり、実際に論文を書いた教授に会いに行ったりしました。そこであった教授の方に「実際に選挙に関わってみれば？」と言われ、選挙事務所で１週間働いたのです。そしたら、本当に驚きました。ネットへの理解や環境もないし、政治家は忙しいのに握手やチラシ配りなどアナログなところが多かったのです。他にもメールをせずに手紙で行っていたり、政治の分野は紙文化で、国の根本を作るところがなんて非効率なんだろうと思いました。

編集部

ではその非効率をどのように解消すればいいでしょうか？

伊藤和真さん

　基本的に”政治 ✕ IT”、すなわちPoliTechが解決できるのは、”効率化”と”透明化”の２つがあると思っています。”効率化”は先程行ったようにアナログ的な政治家の部分をITを用いて変えていくことです。一方の”透明化”は全く出来ていません。基本的に政治は内向きな部分があると思うのですが、その部分をもっとオープンにしていけばいいと思います。このPoliTechでできる２つの事を「PoliPoli」で取り組みたいですね。

編集部

逆に日本の有権者の課題は何だと思いますか？

伊藤和真さん

　僕は有識者に関しては、課題がないと思いますね。ただ有権者の皆さんは選挙に使える時間もそんなに多く無いじゃないですか？もちろん政治教育も大切だと思うし、費用対効果もでかいと思いますよ。でもまずは現状のUXを改善したほうが良いと思います。　基本的に今の政治家さんはチラシを配っていますが、「PoliPoli」のアプリを使うことによって、予算配分などすべてが可視化されて、合理的な意思決定が出来て、そのアプリで投票できたらいいアプリだと思います。今後は投票とかも絡んで行きたいですね。

編集部

「PoliPoli」でのトークンエコノミーをどのように使うのかのか教えてください。

伊藤和真さん

　政治的議論といえば硬いのですが、例えば道路が狭いなどの地域の課題をユーザーが提言する。すると共感を集めて、トークンが集まってお金に替えることができる。　 　　
　また、ユーザーは、政治家さんが良い発言したと思ったらトークンをあげると、それをもらった政治家さんは莫大な費用がかかる選挙グッズなどにPolin（トークン名）決済を導入してもらおうと考えています。そのために取引所に上場できるように今、頑張っているところです！
　PoliPoliの詳細についてはこちら
PoliPoliが実現したいこと　〜トークンエコノミーという経済圏を作ることについて〜
　

編集部

「Polin」という独自通貨を発行するにあたってどのようなブロックチェーンを用いるのか気になります。

伊藤和真さん

　『NEM』のブロックチェーン技術を使おうと思っています。なぜNEMを選んだかというと実装のしやすさ、トークンの保管に対するセキュリティーも高いためです。またNEMはあまり使われていないので、手数料がかなり安いのです。　
　詳しいことはこちらの記事を見ていただくとありがたですね！
なぜPoliPoliはNEMを使うのか

編集部

実際にサービスを作っていて、トークンエコノミーと政治分野の相性は良いと感じますか？

伊藤和真さん

　トークンエコノミーと政治は相性がいいと思っていますよ！トークンエコノミーはいろんな関係者にインセンティブを付与できて、コミュニティーを作れることに魅力を感じますね。例えば、あるコミュニティーのためにそのトークンを持っている人が価値が下がらないように盛り上げてくれることがすごい面白いと思います。
　今まで政治分野のサービスで失敗している企業が多かったのは共感性が足りていなくて、その分「PoliPoli」のトークンエコノミーでは共感性を持ってトークン保持者が盛り上げてくれるので、政治との親和性は高いのかなと思います。

編集部

「PoliPoli」の今後の展望を教えてください！

伊藤和真さん

　来月にトークンがないβ版を提供し、正式にリリースできるのが12月ごろを予定しています。批判をいただくと思いますが、いいサービスにするためのアドバイスと受け止めたいです。9月からトークンを無料配布を予定し、そこからユーザーを巻き込んでいければ良いなと思いますね。12月からトークンを取り扱ったり、投げ銭もします。
　来年の参院選と地方統一選が最初の大きな勝負ですかね。取り組み始めたのが遅いくらいなのですが、スピード感を持って行いたいです！

編集部

最後に伊藤さんの意気込みを教えてください。

伊藤和真さん

　シンプルに革命を起こしたいです！世界狙っていきます！

編集部

今回、インタビューに協力させて頂いた伊藤和真さんありがとうございました。この記事を読んでいただいた方もぜひ「PoliPoli」の今後の活躍に注目してください。