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Youtubeにアニメを放流するとDVDの売り上げが伸びる調査結果

慶應義塾大学経済学部准教授・田中辰雄氏の発表より。via 俺的ゲーム速報牙

この論文は経済産業研究所のディスカッションペーパーとして書かれた、YoutubeやWinnyがアニメDVDの売り上げにどう影響を与えるかという調査。
結論から引用すると以下の通り、

1) YouTubeで無料視聴されることはDVD販売とレンタル回数を減らさない。特にDVD販売はむしろ増加させる効果があり、YouTube再生数が 1%増えるとDVD販売は0.24%増える。

2) このことは YouTubeでのファイル削除の効果からも確認できる。ファイル削除はテレビ放映中に行っても DVD売上に影響は無く、テレビ放映後に行うとDVD 売上をかえって減らす。したがって、YouTubeについてはファイル削除を行わず放置した方が著作権者の収入は増える。

3) Winnyによるファイル交換はDVD売上には影響を与えないが、レンタル回数は減らす効果がある



ネットの住人からすれば肌感覚でなんとなく感じていたことだけれども、それが数字を伴って出てきたのがステキ。

もう公式で低画質映像にDVDのCM入れてYoutubeにうp、そして野良アップを駆逐すればいいのかなぁと思う。 「2期もやって欲しかったらDVD買ってね♪」ぐらいようつべ映像の巻末に入れとけばいいんじゃないかな。

このまま踏み込んで、過剰にDRMかけると商品の売り上げが減る事を証明し、過剰なDRM推進派がフェードアウトすると、大分風通しがよくなるんじゃないかと思う。

ただ、これはアニメに関して。論文内でも指摘されている通り、ゲームや電子書籍は一概にはそうも言えないと思う。ゲーム等は違法配信と正規配信でデータ劣化の差がほぼない為、違法配信が代替物として十分成り立ってしまうので。適度なDRMは必要だと思うけど、ガチガチなのはどうかと。「DLじゃなくてストリーミング露出は売り上げに貢献する」と考えるのがよいかもしれない。


逆に面白そうなのは、ようつべやニコニコでの試聴を前提として、アニメの表現や構成がどう変化していくのか?

エヴァ的な多重参照や複雑な伏線というものは、より極端に売り上げ増加のインセンティブになりそう。単純に見てスカっとして終わるものよりも、心にずるずると刺さったり、ストーリーや主人公・ヒロイン感情移入させることが、より重要になる。。。ということか。

これからはYoutubeで長く試聴されることを前提とした作品プロットの作り方とか、そういう方法論がでてきたらステキだなと思ったり。
ぶっちゃけ僕はTVを持ってないので、iTunesかYoutubeかニコニコでみれない動画は、この世に存在しないも同然なので、はやくワンクリックで買える日が来て欲しいです。