「プラスチック汚染対策」 全世界50カ国で実施=国連

ロジャー・ハラビン BBC環境アナリスト

Plastic bag Image copyright Getty Images

全世界で50カ国がプラスチック汚染対策を行っていることが、国連が発表した報告書で明らかになった。

これまでで最大規模の今回の報告では、エクアドル領ガラパゴス諸島では使い捨てプラスチックを、スリランカは発泡スチロールを禁止するほか、中国は生体分解性のレジ袋の導入を予定していることが分かった。

しかし報告書の執筆者は、河川や海に流れ込むプラスチックを減らすにはさらなる施策が必要だと警告。また、多くの国で行われているプラスチックごみの軽減政策は、強制力の低さから失敗に終わっていると指摘している。

世界各地のプラスチックごみ対策は、さまざま要因が背景になっている。英国では、メディア報道が活発になるきっかけとなった。

発展途上国では、レジ袋が排水溝に詰まることで洪水の原因になったり、牛が食べてしまったりする。

報告書によると、対策の結果はまちまちだ。カメルーンではレジ袋が禁止され、プラスチックごみを集めると1キロごとに対価が支払われる。しかし、レジ袋はなお密輸されている。

また、いくつかの国では、対策が施行されているものの、強制力が低いという。

報告書には、バショウ科の植物アバカアサからトウモロコシのタンパク質ゼインまで、プラスチックに代わる35種類の素材のアルファベット一覧が掲載された。

このほか、ウサギの毛皮や海草、菌糸類から作られる発泡体、廃棄された牛乳から作られる繊維素材「QMilch」、パイナップルの葉から作られる「ピニャテックス」などにも言及している。

<おすすめ記事>

しかし一部の政治家は、こうした代替品の可能性に慎重な姿勢を示している。

自動車燃料向けのパーム油が採れるヤシの木を植えるため、熱帯雨林が伐採されていることが明らかになり、バイオ燃料に対する環境保護活動家らの当初の楽観的な見方は裏目に出てしまった。

国連環境計画のエリク・ソルハイム事務局長は、「この報告は、(プラスチックごみ)対策は痛みを伴わず利益も上がることを示している。人々と地球にとって大きな利益があり、割高な汚染の後処理コストを避けることにもつながる。プラスチックそのものが問題ではなく、我々がプラスチックで何をするかが問題だ」と話した。

報告書では、プラスチックごみを減らす最も効果的な戦略として、きちんと計画された強制力のある禁止や課税が挙げられている。

一方で著者は、プラスチックメーカーに責任を負わせたり、リサイクル促進のための優遇措置を取り入れるなど、企業との幅広い協力が根本的には必要だとの見解を示している。

各国の取り組みの一例は以下のとおり。

  • ボツワナ:小売店にレジ袋の有料化が定められているが、強制力はなく、施策は「失敗」している
  • エリトリア:レジ袋を禁止した結果、排水溝の詰まりが劇的に減少した
  • ガンビア:レジ袋を禁止したが、「政情不安に陥った後に復活した」
  • モロッコ:レジ袋が禁止され、1年間に421トンが押収された。繊維素材のものに置き換えられている
  • バングラデシュ:レジ袋が禁止されたが、強制力が欠けている
  • 中国:2008年以前にはレジ袋を年間30億袋を消費していたが、禁止以降はスーパーマーケットでの利用が60~80%減った。市場ではなお利用されている
  • ベトナム:レジ袋に課税したものの、なお広く使われている。政府は税率を5倍にすることを検討している
  • アイルランド:レジ袋への課税の結果、消費量が90%減った
  • ケニア:禁止以前は、牛は一生のうちに平均2.5袋のレジ袋を食べていた。現在は全面禁止され、輸入や利用が発覚すると罰金と4年間の禁固刑が科せられる

(英語記事 50 nations 'curbing plastic pollution'

関連トピックス

この話題についてさらに読む