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2018-06-03 いま就活が売り手市場なのと経済政策はぜんぜん関係ないよ このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメントAdd Star

若い人が「就職が楽になったから安倍政権支持」みたいなことを言ってるのを見ると心が痛い感じがするので、公開されてる政府統計でわかるようなことを、ちょこっと書いておきます。


あらすじ。

  1. 生産年齢人口は2012年以降に激減
  2. 労働者高齢化が進行
  3. 増加したのは安い仕事
  4. 企業の採用文化に大きな変化なし

では行ってみましょー。


1. 生産年齢人口は2012年以降に激減

生産年齢人口(15~64 歳) は、平成7(1995)年に8716万人でピークを迎え、昨年2017年の確定値で7591万6千人と、1100万人ほど減少しました。


長期のグラフはこんな感じです。*1

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1千万人規模の変化というのはそれだけで非常に強烈ですが、特に2010年代前半の減少が顕著なのが見て取れると思います。


ここで起きているのは団塊世代高齢者区分入りです。出生数が260万人を超えていた昭和22-24年(1947-49年)の第一ベビーブームに生まれた世代団塊の世代と呼びますが、昭和22年生まれが満65歳となり始めた2012年1月1日から、全員が満65歳となった2014年12月31日までの3年間に、合計600万人以上が高齢者入りしています(「700万人以上」にならないのは65歳までに亡くなった方が15%弱居るから)。


ところでこの部分をさらに細かく見ると、民主党政権(2009年9月~2012年11月)の間に高齢者入りした人数が少なめになっているのがわかります。これは出生数が非常に少ない昭和20、21年生まれを含むためです。*2


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左から2番目の2010年から2012年が民主党政権期です。2011年は増加すらしています。変化量で見ると、さらによくわかります。


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2012年以降の4年間は毎年100万人以上のマイナスになっており、特に2015年は150万人もの生産年齢人口が失われています。2016年は社会増(海外からの移住)で少し増加していますが焼け石に水です。


この部分のインパクトの大きさは、95年から2011年にかけての17年間と2012年から2015年の4年間の減少幅がともに500万人程度、ということに現れていると思います。




2. 労働者高齢化が進行

生産年齢から外れた高齢者ですが、彼らの労働参加率が高まっていることも確かです。平成29年版高齢社会白書のグラフを見てください。

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2012年の9.3%から2016年の11.8%へと、高齢化率は1.27倍になりました。


もうちょっと細かく見てみましょう。「労働力調査(基本集計)平成29年(2017年)平均(速報)結果の要約,概要,統計表等」の表1、「年齢階級別労働力人口の推移」が強烈です。


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  • 25~34歳は男女とも長期の減少
  • 男性の総数は横這いでも15~64歳は減少。45~54歳と65歳以上が増加
  • 女性は総数も増えているが、その1/3は65歳以上

つまり、若者、中堅層が大きく減少し、男性はもちろん女性の高齢者までが、どんどん働きに出ているわけです。これが現在の「労働力人口の増加」の実態です。




3. 増加したのは安い仕事

これは厚生労働省の「国民生活基礎調査の概況」の「所得の分布状況」の変化を追えばわかります。平成28年2016年)までのものしかまだ出ていませんが、これを平成25年(2013年)と比べてみましょう。


平成25年(2013年)

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平成28年2016年

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平均値が1.6%上がっているのに対し、中央値が1%下落、平均所得金額以下の者の割合が0.6ポイント上昇しているわけです。これは平均的な給与所得世帯の所得が減少しつつ、高額所得世帯の所得が増加していることを示します。(このかん世帯あたりの平均人員はほとんど変化してません)




4. 企業の採用文化に大きな変化なし

これは統計を見るまでもないと思います。新卒採用が主力のままで、たとえば氷河期世代が新規にキャリアを積み始めるような道は非常に限られたままです。





ながなが書いてきましたけど、さてみなさま。


円安に伴う株価上昇とかは確かにあります。ありますけど、いまって本当に好景気だと思いますか?


「若者の就職が売り手市場」なのは、ホントーに政策のおかげだと思いますか?


オリンピックとか終わったら、どういうことになるんでしょうね~。


*1首相官邸 生産年齢人口等の推移

*2:細かい数字は人口統計資料集2014201520162018 などより

お前それアメリカで同じ事言えんのお前それアメリカで同じ事言えんの 2018/06/04 10:59 失業率が下がっていることについて、「生産年齢人口の低下によるものだ」みたいなことを言ってるのを見ると心が痛い感じがするので、公開されてる政府統計でわかるようなことを、ちょこっと書いておきます。

【日本の解き方】失業率低下のトンデモ議論 経済指標の読み方分からず金融緩和の効果も理解せず
https://www.zakzak.co.jp/smp/society/domestic/news/20170113/dms1701130830013-s1.htm
>それは、生産年齢人口が増えていた以前の方が、失業率が低かったことからもすぐ分かる。こうしたトンデモない議論をする一部の識者や経済評論家は、統計データのリテラシーに欠けていると言わざるを得ない。
>失業率は、労働力人口から就業者数を引いたものを労働力人口で除して定義される。労働力人口は15歳以上の人口で、生産年齢人口は15歳以上65歳までの人口であり、両者はパラレル(並列的)な概念だ。労働力人口(生産年齢人口)が減少するとき、それを所与として経済状況によって就業者数が決まってくる。なので失業率は分子も分母も労働力人口の動きを見込んだものとなり、景気だけに左右される。

あ 2018/06/04 12:29 政策が経済に結びついてないという結論を導くのであれば、持ち出してきたデータが経済に与えている影響とそれに対してどのような政策で対策をしているかの分析は必要ではないか?

元サヨ元サヨ 2018/06/04 12:58 お前さんがアベちゃんが嫌いなのはわかったけど、嫌いだからってどんな手を使っても引きずり下ろすってんでは、国民の支持は得られない。
そもそも誰に代われば、いいって言うんだい?
中国にも韓国にも北朝鮮にもロシアにも、できればアメリカにも迎合することなく国民をまとめられるのは誰だい?
そもそも野党がくだらない揚げ足取りばかりやって自民党を甘やかすから、まともな後継者が出てこない。
文在寅みたいなやつは間違っても出してくるなよ。

bcobco 2018/06/04 14:35 「国民生活基礎調査の概況」の「所得の分布状況」が総じて低い方向に動いているのは、引退した年金所得者が増えたからであって、仕事をして貰った賃金が安くなっているわけではないのに。統計一つ見れていないお笑い分析。

所得と賃金は違うわけで、賃金が知りたいなら民間給与実態統計調査を見ればいい。