男はイケメンが多く、女は頭の緩そうなブスばかり。みんな楽しそうだ。自分は何度生まれ変わってもあっち側になれる気がしない。
悲しくなったのは、酔っ払った男女が川に飛び込まないようにという配慮なのか暴力事件でも起きないようにということなのか、警備員の冴えないおじさんたちがそういうちゃらちゃらした男女から少し離れたところで、暑苦しい制服に身を包み真面目に警備していたということだ。警備員の冴えないおじさんは要するにキモくて金のないおっさんだろう。
ちゃらちゃらした男女が昼日中バーベキューと酒でちゃらちゃらハメを外していられるのも、彼らの安全をキモくて金のないおっさんが守ってくれているおかげなのだ。
ちゃらちゃらした男女は社会に適応してバリバリ働いている強者か、これから就職活動して持ち前のコミュ力で一流企業に就職して、人並み以上に金を稼ぎ家庭を持ち子供が生まれ素晴らしい人生を歩んでいくことを約束されている名門私立大学の学生だろう。キモくて金のないおっさんはそういう人生からドロップアウトした、あるいは最初からそういったレールに乗ったことがない人たちだ。キモくて金のないおっさんはちゃらちゃらした男女のバーベキューを見て何を思っているのだろう。
「背中で語る」なんていう言葉がある。キモくて金のないおっさんは多くを語らない。ぺちゃくちゃしゃべっているのはバーベキューを楽しむちゃらちゃらした男女の方だ。彼らのイカれた笑い声を聞きながら、キモくて金のないおっさんは悪態をつくでもなく、ただ警備業務を遂行するのであった。