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賞味期限切れなどで廃棄された。約1万3650匹分。
絶滅の恐れがあるニホンウナギなどのかば焼きが昨年、確認できただけで2.7トンも捨てられていたなどとする小売業者の販売実態アンケートの結果を4日、グリーンピース・ジャパンが発表した。
アンケートは昨年9月から今年1月まで、イオンや西友、パルシステム生活協同組合連合会など18社を対象に実施。
少なくとも 10社で廃棄があったと考えられ、このうち量を明らかにした5社だけで総量は約2.73トンに上った。1匹200グラム換算で約1万3650匹になる。
( → ウナギ:捨てられた「かば焼き」2.7トン 小売り調査 - 毎日新聞 )
これを見て、「けしからん」と息巻いている人が多いようだ。
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しかし、これは「統計の嘘」の見本だろう。
情報を正しく理解するには、年間消費量と比較するといい。
日本のウナギの年間消費量は6万トン以上
( → pekinshuho )
比率は
3÷6万 = 0.00005
である。2万分の1。0.005パーセント。
これほどにも小さい値であれば、「統計誤差」もしくは「ゼロ同然」と見なしてもいいだろう。何らかの理由で傷物になったりして売れなくなる量は、そのくらいはありそうだ。
( ※ 通常、売れ残っても、スーパーの店員がもらい受けるか安値で買うので、たいていのウナギは捨てられるはずがない。捨てられるのは、よほどのひどい傷物だろう。たとえば、袋が破けて、中身が剥き出しになったとか。)
結論。
この数字は、印象操作を狙った、「ためにする数字」である。一種の詐欺。統計の嘘。(主催者からして、グリーンピースという偏向団体だ。)
数字を見るのはいいが、こんな数字ペテンに引っかかるようでは困る。もっと科学的リテラシーを備えよう。
【 追記 】
「廃棄率」を正確に知るには、
上記の廃棄量 ÷ 年間消費量(全国)
ではなくて、
上記の廃棄量 ÷ 年間販売量(該当5社)
を見るべきだ。
とはいえ、本項は「廃棄率」を正確に知ることが目的なのではなく、
「 2.7トンの廃棄があることをもって大騒ぎすることの無意味さ」
を指摘している。
したがって、正確な「廃棄率」が 0.05% でなくて、その 10倍ぐらいあるとしても、たいして問題ではない。どっちみち、この程度の廃棄率は、無視できる。
そもそも、ウナギの年間生産量は、年ごとに大幅に変動する。そのなかで1%にも満たない廃棄量など、どっちみち、無視していいのである。それが本旨だ。
【 関連項目 】
そもそも、ウナギを守るには、カバ焼きを減らせばいいのではなく、稚魚を守るべきだ。そのためには、ウナギの密漁を取り締まるべきだ。これが本筋だ。
店頭のカバ焼きの不買をしても、何の意味もないのである。カバ焼きは海を泳がないのだから。
→ カバ焼きは海を泳ぐか?: Open ブログ
→ ウナギを食べると減るか?: Open ブログ
→ ウナギ密漁の実態: Open ブログ
→ ウナギ絶滅を避けるには?: Open ブログ
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