新幹線ターミナルに直結 阪急の新線「新大阪連絡線」の整備で何が変わる?
阪急電鉄が60年近く前に計画したものの、進展がないまま幻に終わったはずの「新大阪連絡線」が、一部の区間だけ復活の兆しを見せています。新大阪連絡線ができると、阪急の鉄道ネットワークはどう変わるのでしょうか。
東海道新幹線の建設決定を機に計画
関西大手私鉄のうち、東海道・山陽新幹線のターミナルである新大阪駅に最も近いところを通るのが阪急電鉄です。「キタ」と呼ばれる大阪北部の繁華街・梅田にターミナルがあるだけでなく、日本の大動脈である新幹線のターミナルにも近いという地の利のよさがあります。
ただし、阪急の路線自体は新大阪駅には乗り入れておらず、一番近い場所でも約800m離れています。京都線方面からは、南方駅でOsaka Metro(大阪メトロ)の御堂筋線に乗り換えなければ新大阪駅にアクセスできません。神戸線方面や宝塚線方面からになると、これに加えて十三駅でも乗り換える必要があります。阪急の沿線住民は「すぐ近くを通っているのに直接行けないとは……」と、もどかしさを感じているかもしれません。
ただ、阪急は新大阪駅につながる新線「新大阪連絡線」を計画しています。さまざまな問題があって計画は凍結状態でしたが、ここに来て復活の兆しが見えてきました。
阪急は東海道新幹線の建設決定に伴い、阪急各線と新大阪駅を結ぶ新大阪連絡線の建設を計画。1961(昭和36)年12月、淡路~新大阪~十三間4.0kmと新大阪~神崎川間3.0kmの営業許可を国から受けました。
これを受けて阪急は建設用地の買収を進め、国鉄も東海道・山陽新幹線の高架橋の下に新大阪連絡線を通すための空間を確保するなどの準備を進めました。しかし、新大阪駅周辺の開発が進まなかったことや、ルートの一部で用地買収が難航したこともあり、新大阪連絡線は本格的な工事に着手することができなかったのです。
阪急は2003(平成15)年、淡路~新大阪間と新大阪~神崎川間の計画を正式に中止します。このとき、用地買収がほぼ完了していた新大阪~十三間2.3kmは「今後十三駅、新大阪駅での諸計画の動向を踏まえつつ、整合性を取りながら整備方針を決定していきます」(阪急)として計画が維持されましたが、その後も具体的な進展がないまま時が過ぎていきました。実質的には「幻の鉄道」と化していたのです。
JRが北梅田からダイレクトに新大阪まで結ぶのに、阪急はおなじルートを十三経由で?
それだけ聞くと“なにをムダなことやろうとしてるんだろう?”というふうにも思えてしまう。