■走行中の当て逃げはドラレコがなければとにかくナンバーと車種を控える
「当て逃げ」とは、被害者の車にぶつかったり擦ったりして接触し、加害者が逃走する物損事故のことを言います。走行時や駐車時、当て逃げされたことに気づいたら、どのように対応すればよいのでしょうか?
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筆者(加藤久美子)は数年前、横浜市内の道路で信号待ちをしているときに大型トラックに当て逃げされました。こちらが左折レーンで詰まっているときに、右後ろの横をザザーッと擦っていきました。当時はドライブレコーダー(以下:ドラレコ)もなく、ほんとに一瞬で、予期せぬ出来事だったのですが助手席の息子が車のナンバーと車種を覚えていました。
そのまま最寄りの警察に行きました。正直、警察に届けても物損だし、ケガ人もいないので、当て逃げ犯は捕まらないんじゃないか? とも思っていたのですが、予想に反してスピード解決。ナンバーと車種が確実だったこともあって、なんと当て逃げされてから1時間後には相手が判明し、さらにその30分後には先方の保険会社から連絡が来ていました。
当て逃げされたらとっさのことで、ビックリしてしまいますがどうか冷静に。ドラレコが付いていない車なら、ナンバーとクルマのカタチ、色くらいは頑張って覚えましょう。同乗者がいれば写真や動画を撮ってもらうことも有力な証拠になります。
そして何より大事なことは、すぐに110番をするか最寄りの警察に行って事故の報告をするということです。
■駐車場で当て逃げされたことに気づいたら?
ファミレスやショッピングモールなどの駐車場で”戻ってきたらクルマが当て逃げされていた”、という場合は本当に腹立たしく、悲しい気持ちになります。
駐車場での当て逃げの場合も、速やかに110番をして警察を呼びましょう。その場で警察を呼ぶ時間がなかったとしても、遅くとも2-3日以内にはぶつけられたクルマと共に最寄りの警察署に行くという方法で事故届を出しましょう。
なお、商業施設の防犯カメラがあれば警察が捜査の中で確認することもありますが、たとえ被害者であっても一般人が単独で防犯カメラの映像を確認することはできません。また、駐車場の隅々まではっきりとカメラの映像に残っているわけでもなく、カメラの映像の精度もまちまちなので、防犯カメラがついていても相手が特定できないことは良くあります。
■当て逃げの場合でも自分の車両保険は使える?
警察の捜査により、当て逃げをした相手が判明すれば(通常は)当て逃げをした側の「対物賠償保険」を使って修理代を出してもらえます。しかし、加害者が誰なのかわかっても任意保険に入っていないため保険ではなく、加害者が自腹で支払うという場合は細心の注意が必要です。支払ってくれるはずだった修理代を支払わず、逃げられてしまうという可能性もあるからです。
全く理不尽極まりないですが、当て逃げ犯が分からない場合と同様、このような場合は自分のクルマの車両保険(一般車両)を使うことが可能です。なお、当て逃げ犯が特定できない場合、エコノミータイプの車両保険(車 対 車)ではほとんどの場合、補償されませんのでご注意ください。
いずれにしても、車両保険を使って修理をすると、翌年からご自分が加入している自動車保険の等級が3段階落ちて保険料が高くなります。免責金額や等級ダウンによる保険料の増額などすべてを総合すると、10万円以下の修理代なら保険を使わずに自腹で修理代を支払った方が安くなる場合もあります。
保険会社に修理代の見積金額を伝えれば、保険を使った方が得か、損かを教えてくれます。車両保険を使う場合は、必ず加入している保険会社に問い合わせてみてください。
■当て逃げ事故、警察はどこまで動いてくれる?
筆者はこの10年間に3回の当て逃げ事故を経験しました。
・1回目:「信号待ちでトラックが当て逃げ」ナンバーと車種を控えていたのですぐ警察に届けて2時間後にはすべて解決。
・2回目:「防犯カメラのないファミレスの駐車場で当て逃げ」相手を特定できず自分の車両保険で修理代を支払った。
・3回目:「気づいたら当て逃げされていた」場所も時期も詳細は不明。気が付いてすぐ警察に届けたが、場所や時期が不明で、傷に一部錆が発生していたため、時間が経った事故と疑われ、事故報告は受理されず。車両保険ナシの車だったので自腹で修理した。
気になるのは3回目の「事故報告が受理されなかった場合」だと思います。
この件について、神奈川県警交通課に聞いたところ、「事故報告書は自動車保険(車両保険)を使う場合に必要ですが、いつ、どこでぶつけられたのかが明確でないと受理できない場合があります。それは、その傷が本当に当て逃げによってできたものなのか、わからないからです。事故が起きた場合、どんなに小さな物損事故でも速やかに警察に届けることが重要です」といいます。
教習所で教わったはずですが、交通事故を起こした場合、軽微な物損事故でも警察に届け出る義務があります(道交法72条1項)。保険を使う、使わないに関わらず、また相手がわからない当て逃げや、場所や時期が分からない場合でもできるだけ早く警察に届けることが後々、安心できます。どんな状況でも、「まずは警察に連絡」これを頭に入れておいてください。