【ロンドン襲撃】 犯人と戦ったパン屋の英雄「見捨てられた」 あれから1年
2017年6月3日のロンドン襲撃事件で犯人に果敢に立ち向かったフローリン・モラリウさんは、当局から見捨てられたと感じていると話した。
ルーマニア人のモラリウさんは事件当夜、働いていたパン屋の店内に人々を避難させた後、大きなクレート(パンを並べる箱)で犯人を殴りつけた。
モラリウさんは事件後に心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患ったが、「誰も助けてくれないと感じた」と話している。
一方で英政府は、事件の影響を受けた人に対する支援提供に「取り組んで」いると説明する。
この事件ではロンドン・ブリッジとバラ・マーケットでワゴン車が歩道に乗り上げた後、刃物を持った男3人が通行人を襲撃。8人が死亡、48人が負傷した。
モラリウさんは、事件に関係する悪夢に悩まされたと話した。
「大勢がどうやって死んだか、覚えています。大勢が刺されて歩道に横たわっていたのを、あの混乱を覚えています」
モラリウさんは事件後、襲撃犯の支持者による報復を怖れた大家から家を出て行くよう言われたという。
その後、カウンセリングを受けるためにルーマニアに戻り、人生をやり直そうとしている。
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テリーザ・メイ英首相は下院でモラリウさんの「英雄的行い」を称えたが、モラリウさんは「英雄と呼ばれなくても良かった。ただ、支援が欲しかった」と語った。
内務省はBBCの取材に対し、「事件に巻き込まれた人々の支援に取り組んでいる」とした上で、モラリウさんは賠償金を申請できると述べた。
襲撃犯に立ち向かった警官が職場復帰
事件現場で最初に襲撃犯に立ち向かい重傷を負った英交通警察(BTP)のウェイン・マーケスさん(39)が、7月にも職場に復帰する。リハビリで「かなりの改善」があったと話している。
マーケスさんは警棒のみで犯人に立ち向かい、頭や手足などに刺し傷を負った。
マーケスさんは、家族は職場復帰を心配しているが、「私が楽しい仕事です。これが私です」と話した。