ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。
2015年から夫の転勤がきっかけで、当時1歳だった娘を連れてシンガポールに移住しました。シンガポールに住んでみると、日本よりも進んでいて快適なところが多く、何よりも少子高齢化は日本より深刻なのに、日本の理想的な未来を先取りしていたのです。拙著『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』では、その賢くて合理的な小国の知恵を記しました。その一部を紹介しましょう。
例えば、人口減少に影響されない社会保障(老後生活費用、医療費用、持ち家取得に備えた費用を強制貯蓄する積立基金)は老後生活の不安を軽減しています。
また、シニアも女性も働き続けることができる制度設計(保育所、家事労働サービスほか)があり、交通システムも時間差で運賃が変動し混雑緩和で、ベビーカー連れの通勤も可能です。
わが家も日本にいたら収入は頭打ちだと思っていたのですが、シンガポールに暮らしてみると、家事労働サービスや保育所、交通システムの充実など、国民総活躍の地盤が整っているため、世帯収入は上げられるということが分かりました。
また、ライドシェアや自動運転など、新しい技術もいち早く導入されるので、日々生活が快適になります。物事を決めるスピードも速く、非常に合理的、効率的に国がまわっているのです。
さらに学力テストは世界首位(科学的リテラシー、読解力、数学的リテラシー)と、教育政策にも驚かされます。世界的投資家のジム・ロジャースも娘の教育のために、シンガポールへ移住しています。
シンガポールの平均寿命は男性で80.4歳、女性では84.9歳(2014年)。
合計特殊出生率は1.25(日本は1.42/2014年)。
日本より少子高齢化が深刻ですが、女性もシニアも活躍できる社会を実現しており、さらに優秀な外国人労働者を確保することで、労働力人口減少の問題を解消しています。
●働く女性は約7割強(狭い国土でもオフィスビルなどを活用し保育所確保で待機児童問題はゼロ、家事労働サービスが充実)
●働くシニアの増加(65歳以上の労働力率は3.6割で毎年増加、雇用主は賃金を減らすことなく67歳まで継続雇用を申し出る義務がある)
●人口の4割が外国人労働者(専門技術者、研究者、弁護士、医師、会計士などの高技術労働者を確保しており、高技術労働者は永住権も取得しやすい)
シンガポール政府は労働力の重要性をよく理解しており、それに合わせた制度設計をしています。