9月16日をもって引退することを発表している
2月に愛知・ナゴヤドームにて開幕した「namie amuro Final Tour 2018 ~Finally~」。9月に引退する彼女にとって最後となるこのツアーでは、国内ドームツアー17公演で約75万人、アジアツアー6公演で約5万人の計約80万人が動員された。セットリストはファンからのリクエスト投票で票数が上位の中から選ばれた楽曲と、ダブルミリオンを突破したオールタイムベストアルバム「Finally」収録の新曲で構成。安室は本編27曲、アンコール3曲の計30曲を衣装チェンジをしながら、ほぼノンストップで駆け抜けた。
開演時刻を20分ほど過ぎた頃、客電が落ちると安室のこれまでの軌跡を交えたオープニングムービーが巨大ビジョンに映し出される。10からのカウントダウンが終わると、2人の聖火ランナーがステージの両端に登場。花道の先まで走った2人がロケットに火を灯すと、そのロケットがステージセット上部に設置された聖火台に火を点ける。大歓声が沸き上がる中、ステージには赤のナポレオンジャケットに赤と黒のチュールスカートをコーディネートした安室が現れ、NHKのリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック放送のテーマソング「Hero」でライブをスタート。ダンサーによるフラッグパフォーマンスも披露されるなど、オリンピックの開会式を思わせる演出でライブの幕開けを告げた。
そのままフラッグパフォーマンスをフィーチャーした「Hide & Seek」に突入し、安室はダンサーと息の合った振り付けを披露しながら歌唱。曲の終わりには黒とゴールドのビスチェとパンツのコーディネートに早着替えし、続く「Do Me More」では花道の先のステージまで歩み出てセクシーなダンスでオーディエンスを魅了した。
ド派手なレーザーの演出の中披露された「Mint」が終わると、安室は鮮やかなピンクがまぶしいワンピースに着替えて「Baby Don't Cry」を熱唱。先程までのクールな表情とは一変、キュートな笑顔を振りまきながら手を振ったり、手拍子を促したりと、ファンとの交流を楽しんだ。シティ感あふれる「GIRL TALK」ではビル群のセットを舞台にダンサーとのペアダンスを披露。そして「NEW LOOK」「WHAT A FEELING」と、2008年に発表されたコンセプチュアルなシングル「60s 70s 80s」からのナンバーをパフォーマンスして、安室は一度退場した。
光沢感のある編み上げデザインのワンピースに着替えた安室は「Showtime」をエネルギッシュに歌い、観客のテンションを引き上げていく。続く「Just You and I」では白い羽が吹き上がる中、手を胸に当てて力強い歌声を響かせた。「Break It」「Say the word」ではダンサーを率いてのダイナミックなダンスパフォーマンスでオーディエンスを圧倒。「Love Story」では優しい歌声を会場いっぱいに響かせ、穏やかな笑顔を見せた。
「SWEET 19 BLUES」からは「TRY ME ~私を信じて~」「太陽のSEASON」「You're my sunshine」と1990年代にリリースされたナンバーが続く。安室がイエローのミニワンピースにポニーテールというアクティブなファッションで、ユーロビートに乗ってキレのあるダンスをパワフルに踊ると、会場のボルテージが急上昇した。「Get Myself Back」では美しい自然の風景がビジョンに映し出される中、観客のシンガロングが響く。「a walk in the park」では過去のパフォーマンスシーンの映像とステージ上の安室の姿がリンク。ビジョンに映る1997年と2012年の安室と同じタイミングで、現在の安室が髪をかき上げ、ステージを走ると大歓声が沸き上がった。
観客が手を振りながらコーラスパートを歌った「Don't wanna cry」、オリエンタルな雰囲気ただよう「NEVER END」が終わると、安室は純白のウエディングドレスに着替えて「CAN YOU CELEBRATE?」を披露。スクリーンにはグリーンの植物が花開いていく様子が映し出され、彼女の美しい姿をより引き立てていた。
白のフリンジ衣装に着替えた安室は、1995年に発表した小室哲哉プロデュース楽曲第1弾シングル「Body Feels EXIT」、アレンジバージョンの「Chase the Chance」で再び観客を熱狂させる。そしてヘアチェンジをして2016年リリースの「Fighter」、「Finally」収録の新曲「In Two」と近年発表したナンバーを披露。本編ラストを飾った「Do It For Love」では安室が「騒げ! 東京!」と絶叫し、スクリーンには「25THANK YOU I ▼ FAN!」の文字が浮かび上がる。そしてステージ前方で花火が破裂し、本編の幕が下ろされた。
アンコールはアニメ「ONE PIECE」の主題歌「Hope」でスタート。この楽曲が披露された際には同アニメとコラボした映像が流れ、カラフルなメタリックバルーンが降り注いだ。オールタイムベストアルバムのラストを飾るバラード「Finally」を丁寧に歌い上げた安室は、最後に小室の提供曲「How do you feel now?」を披露。過去のライブ映像やミュージックビデオなどを織り交ぜたヒストリームービーをバックに熱唱した。すべての演目を終え、達成感に満ちた表情の彼女は目に涙を浮かべながら、一緒にライブを作り上げたダンサー1人ひとりとハグ。「今日はどうもありがとうございました!」と言い、ダンサーたちと手をつないでお辞儀をしたあと、涙をタオルで拭いて最後の挨拶へ。「この25年間が私の中でとてもとても大切な思い出になりました。こんな私に素敵な25年間の思い出を作ってくださったファンの皆さん、そしてサポートしてくださったすべての皆さまに心から感謝しています。ありがとうございました。いち音楽ファンとして、皆さんの素晴らしい毎日の中に素晴らしい音楽が常にあふれているよう、心からそう願っています。これからも素敵な音楽にたくさんたくさん、ぜひ出会ってください。25年間ありがとうございました!」と語った彼女は涙で濡れた顔を拭ったあと「最後は笑顔で……みんな元気でね! バイバーイ!」と叫び、ステージを降りた。
なお本日のライブの模様を収録した映像作品「namie amuro Final Tour 2018 ~Finally~」が8月29日にリリースされることが決定。パッケージは5種類用意され、各バージョン別でツアー「namie amuro Final Tour 2018 ~Finally~」各地の公演の映像が収められる。この映像はそれぞれ異なるディレクターが編集しており、“洋楽テイスト”の愛知・ナゴヤドーム公演、安室の姿をメインに収めた福岡・福岡 ヤフオク!ドーム公演、グループショットをメインに据えた北海道・札幌ドーム公演、ダンスパフォーマンスをたっぷりと楽しめる大阪・京セラドーム大阪公演、安室と観客の姿を感情豊かに捉えた東京・東京ドームの5パターンが用意される。