【ウィスラー(カナダ西部)=八十島綾平】主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が2日(日本時間3日未明)、閉幕した。共同声明は採択せず、カナダによる議長声明では「米国の一方的措置がもたらす負の影響について多くの指摘がなされた」と米国を名指しで批判した。首脳会議(サミット)に議論を引き継ぐが、貿易を巡るG7の分裂は決定的となった。
会議終了後に会見した議長国カナダのモルノー財務相は会議での議論について「(米国とその他の国で)互いに意見が割れていることについては、見解が一致している」と話し、G7が“1対6”の対立構造に陥ったことを認めた。米国を除く6カ国で共同声明を出すことを検討したことも明かした。
モルノー氏は「米国の行動は全く建設的でなく、鉄鋼・アルミニウム産業にとって破壊的なものだ」と米国に自制を強く求め、ムニューシン米財務長官に対しては「我々が失望しているというメッセージをワシントンに伝えてくれるだろう」と皮肉交じりに述べた。
議長声明では「サミットでは確固たる行動が期待される」として、米国による鉄鋼・アルミニウムに対する追加関税措置に首脳レベルで対応を取ることを求めた。一方で声明の中には、トランプ米大統領が求める「自由で公正かつ相互互恵的な貿易」を実現することが最終目標だという一文も盛り込み、米国と将来における歩み寄りに含みを持たせた。