謝罪する神戸市の長田淳教育長(右から2人目)ら=2018年6月3日午後6時44分、神戸市役所、野平悠一撮影

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 神戸市立中学校3年の女子生徒(当時14)が2016年に自殺し、いじめをうかがわせる他生徒からの聞き取りメモがあったのに、市教育委員会の首席指導主事が学校側に指示してメモを隠蔽(いんぺい)していたことが、市教委が委託した弁護士の調査でわかった。

 遺族にも内容を伝えていなかった。市教委が3日発表した。市教委は関係者の処分を検討している。

 弁護士の報告書によると、メモは女子生徒の自殺から5日後の16年10月11日、教員が生徒6人から聞き取った手書きの記録など。亡くなった生徒へのいじめがあったとする内容やいじめたとされる生徒の名前などが含まれ、学校内に保管されていた。

 当時の校長は17年3月、関係資料の開示を求めた生徒の遺族に対し「(メモは)存在しない」と説明。自殺の経緯を調べた市教委の第三者委員会の調査や、遺族が神戸地裁に申し立てた証拠保全の手続きでもメモを提出しなかった。

 弁護士は関係者からの聞き取りや資料の調査をもとに、当時の校長が市教委の首席指導主事の指示に従って事実を伏せたと認定した。首席指導主事はメモが明らかになれば事務処理が煩雑になると考え、校長も遺族の反応を心配してメモがないことにしたいと思っていた――と推認。「隠蔽が誤った対応であることは言うまでもなく、非難されるべきだ」と結論づけた。首席指導主事は指示を認める一方、理由については「わからない」と答えたという。