車を購入後、ディーラー等で定期的に点検を受けている人も多いと思うが、今回は法定点検について投稿しようと思う。
これを受けないと法律違反になると言う人もいるが本当だろうか。
法定点検
法定点検とは、その名の通り、法律によりこれを受けることが義務付けられている点検のことを言う。
その根拠となるのは、“道路運送車両法第48条第1項”であるが、以下を参照されたい。
(定期点検整備)
自動車(小型特殊自動車を除く。以下この項、次条第1項及び第54条第4項において同じ。)の使用者は、次の各号に掲げる自動車について、それぞれ当該各号に掲げる期間ごとに、点検の時期及び自動車の種別、用途等に応じ国土交通省令で定める技術上の基準により自動車を点検しなければならない。
(1〜2号省略)
3 前2号に掲げる自動車以外の自動車 1年
道路運送車両法第48条第1項より
条文にある”前2号に掲げる自動車以外の自動車”とは一般の自家用車のことを言うが、1年毎に点検をしなければならない旨が規定されている。
12ヶ月毎と24ヶ月毎で点検項目が異なるが、“12ヶ月点検”、“24ヶ月点検”とも呼ばれる理由がここにあるようだ。
詳細は、続きを読んで欲しい。
義務
最も重要なのは、法定点検が義務化されていることだ。
道路運送車両法第48条第1項にある通りだが、車の使用者は必ず法定点検を行わなければならず、これを怠った場合は法律違反になる。
しかしながら、何と、罰則は設けられていない・・・。
このことが点検を行わない所有者が存在する原因になっていると考えられるが、悩ましい問題である。
点検項目
法定点検での点検項目は、国土交通省令の“自動車点検基準第2条”にて規定されている。
自家用車の場合、12ヶ月点検では26項目、24ヶ月点検では56項目がチェックされるが、詳細は以下を参照されたい。
なお、表2において、24ヶ月点検にのみ適用される項目には下線を引いた。
12ヶ月点検
表.1
点検箇所 | 点検項目 | |
かじり装置 | パワーステアリング |
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制動装置 | プレーキペダル |
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駐車ブレーキ機構 |
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ホース及びパイプ |
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マスタ・シリンダ ホイール・シリンダ ディスク・キャリパ |
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ブレーキ・ドラム ブレーキ・シュー |
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ブレーキ・ディスク パッド |
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走行装置 | ホイール |
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動力伝達装置 | クラッチ |
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トランスミッション トランスファ |
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プロペラ・シャフト ドライブ・シャフト |
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電気装置 | 点火装置 |
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バッテリ |
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原動機 | 本体 |
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潤滑装置 |
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冷却装置 |
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エグゾーストパイプ及びマフラ |
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24ヶ月点検
表.2
点検箇所 | 点検項目 | |
かじり装置 | ハンドル |
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ギア・ボックス |
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ロッド及びアーム類 |
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舵取り車輪 |
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パワーステアリング |
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制動装置 | プレーキペダル |
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駐車ブレーキ機構 |
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ホース及びパイプ |
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マスタシリンダ ホイールシリンダ ディスクキャリパ |
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ブレーキドラム ブレーキシュー |
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ブレーキディスク パッド |
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走行装置 | ホイール |
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緩衝装置 | 取付部及び連結部 |
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ショックアブソーバ |
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動力伝達装置 | クラッチ |
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トランスミッション トランスファ |
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プロペラシャフト ドライブシャフト |
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デファレンシャル |
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電気装置 | 点火装置 |
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バッテリ |
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電気配線 |
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原動機 | 本体 |
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潤滑装置 |
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燃料装置 |
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冷却装置 |
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ばい煙、悪臭のあるガス、有害なガス等の発散防止装置 |
ブローバーガス還元装置 |
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燃焼蒸発ガス排出抑制装置 |
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一酸化炭素等発散防止装置 |
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エグゾーストパイプ及びマフラ |
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車枠及び車体 |
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方法
法定点検の方法は、①ディーラーや整備工場等の専門業車に依頼する、②自分で行うの2通りがある。
以外に思われるかもしれないが、法律上、使用者自ら点検を行ってもよいとされているのだ。
道路運送車両法第48条第1項に、”自動車の使用者は〜”と書かれているので、もう一度確認して欲しい。
業者に依頼する場合は、余計なことをせずに一切を任せれば問題ないと思われる。
また、ディーラーから新車を購入すれば、購入時に加入するメンテナンスパックに法定点検も含まれるので、お知らせが来たらディーラーに行くだけでよい。
なお、後述するが、24ヶ月点検については車検と同時に行われることがほとんどだ。
自分で行う場合は“定期点検整備記録簿”のチェック項目に従って点検を進めればよいが、用紙は以下でダウンロードすることができる。
また、新車購入時に付いてくるメンテナンスノートを用いてもよい。
とは言え、12ヶ月点検では26項目、24ヶ月点検では56項目にも及ぶ点検を素人が行うことは容易ではない・・・。
やはり,プロに依頼するのが無難ではないだろうか。
点検を受けない場合
法律で実施が義務付けられているのだから、法定点検を行わない場合に法律違反となることは言うまでもない。
しかしながら、既に述べた通り罰則は設けられていないので、不履行がばれてもお咎めなし。
と言うか、そもそも、法定点検の実践の有無をチェックするシステムすら存在しないのが現実なのだが・・・。
よって、極端な話、点検をおこなわずに済ませようと思えばそれができてしまうのだ。
現に、法定点検を行わない人がいることは間違いないことだし、我が国の経済状況を考えれば、今後その数がさらに増えるかもしれない。
とは言え、点検の不履行自体には罰則が設けられていないものの、保安基準を満たさないような状態が生じれば、何かしらの処罰を受ける可能性は十分にある。
例えば、電気系統の点検を怠り、ライトの故障に気が付かないまま公道を走れば整備不良違反になるし、夜間であれば無灯火違反に問われることも。
そして何よりも、車の不具合を見逃す恐れがあるわけで、安全上極めて問題があることは言うまでもない。
事実上、点検を行わないことも不可能ではないかもしれないが、それによるリスクはとてつもなく大きいし、その全てを使用者が背負わなければならないのだ。
車検との関係
ディーラーや整備工場に車検を依頼すると、同時に24ヶ月点検も行われることが一般的だ。
私たちが支払う車検料金にはその点検費用も含まれているが、少々値段が高くなる理由がここにある。
それもあってか、車検に合格するには法定点検を受けなければならないと考える人も少なくないらしいが、両者に直接の関係はない。
法律上も車検と法定点検は全く別の概念であるが、車検の事前点検を兼ねて24ヶ月点検が行われるに過ぎないのだ。
現に、ユーザー車検を行う人の中には、点検なしで検査に臨む人もいる。
その場合、定期点検整備記録簿の提出を求められることもあるが、後で点検を行う旨を伝えればそれで済んでしまう。
このことも、車検と法定点検が別のものであることを物語っていると思うが、だからと言って点検を怠ってもよいわけではない。
罰則こそないものの、法定点検は義務であるし、何よりも安全にとって不可欠であるはず。
とは言え、ディーラーから車を購入すれば事前に通知が来るし、購入後3~5年分の点検・整備費用を含んだメンテナンスパックに加入することもできる。
よって、特別の心配をする必要もないと思う。
終わりに
以外と知られていない法定点検だが、これを怠ることなく、しっかりと実践しなければならないのだ。
しかしながら、多くの人はディーラーから車を購入しているわけだから、彼らに任せておけば問題は生じないはずだ。