シンガポールで「財布持たない族」急増のワケ

ブタ財布を持ち歩くのは日本人や中国人だけ

シンガポールでは、マネークリップやキーケース、カードケース(左)や超小型財布(右)にカード1枚を入れて外出するのが当たり前。現金をたくさん入れた「豚財布」を持っているのは日本人や中国人くらいなものだという(写真:筆者撮影)

シンガポールに移住して3年。同国と日本を行ったり来たりしているファイナンシャルプランナーの私の目から見て、日常生活における日本との大きな違いの一つが、キャッシュレス化です。たとえばシンガポールではこんな光景が当たり前になっています。

「今日、お財布忘れちゃって。銀行の送金サービス、使ってる?」

「携帯の番号で送金できるやつだよね。スマホで今、あなたの番号を登録したから使えるよ」

「ありがとう。じゃあ今から送金するね。このあいだフリマアプリで落札したんだけど、これで決済できた。ホント、便利だよね」

もちろん、飲み会で「割り勘」をするときも、銀行の送金サービスで瞬時におカネの受け渡しができます。シンガポールでは携帯の番号から瞬時に資金移動ができるサービスを大手銀行が提供しているので、口座さえあれば登録もスムーズですし、集金したおカネはそのまま残高に反映されるのです。

日本の「送金アプリ」は、かなり使いづらい

日本でも割り勘をする場合は「LINE Pay」「Kyash」「paymo」などが使えるのですが、便利なはずなのに、なぜ思ったほど普及していないのでしょうか。それは、銀行やクレジットカードの登録などにひと手間かかったりと、使い勝手がいまひとつよくないからだと思います。

また、シンガポールではスターバックスなどでコーヒーを買うときも、コンビニでお菓子を買うときも、クレジット情報が入ったスマホやカードを決済端末にかざして「ピッ」とすれば会計ができるので、店員にカードを預けることもなく安心です。決済は一瞬で済みますから、昼食の混雑時なども行列になることもありません。

一方、日本でもスマホを決済端末にかざして「ピッ」という決済サービスは増えてきました。電子マネーもかなり普及しています。しかし、お店によって使えるものと使えないものがあったりします。その点、シンガポールの銀行のキャッシュカードには、複数の大手銀行が株主になっているNETSといわれるデビットカードや、VISAなどのデビットカードがついていることが一般的です。NETSとVISAが利用できない店舗はほとんどないので、このキャッシュカードが1枚あれば、会計に困ることはまずありません。

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  • NO NAME483673352462
    私も普段は現金を持ち歩かないけど医療関係では未だにクレジットカードすら使えないところが多くて困る。
    up24
    down7
    2018/6/3 06:39
  • NO NAME1e7dbc342d52
    日本が遅れているのは事実かもしれませんが、中国のキャッシュレスはかなり進んでいますよ。
    up23
    down8
    2018/6/3 07:41
  • NO NAMEca6086a13aa6
    キャッシュレス化は便利。しかし、その支払いには数%の手数料がかかる。手数料は店側が負担しているが、最終的には、価格に反映し、消費者負担となる。儲かるのは金融機関。
    up19
    down5
    2018/6/3 08:53
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