神社から見る日本デザインの原点
目次
一説によると縄文時代より原点があったという日本の心を表す『神社』。
古来から語り継がれる信仰や神さまとの結びつきの形が神社のデザインに行き着いたものです。
今回は神社に参拝した時に注目したいデザインを紹介し、そこから日本デザインの原点を見つめていきます。
その中にはきっと大切なコンセプトが眠っているはずです。
神社の造形から見るデザイン
神社とその様式は、日本で培われた独自の文化が詰まっています。
歴史と伝統を秘められた日本独自のデザインがそこにはあります。
今回は、特に社神殿と鳥居について触れていきます。
本殿のデザイン
本殿とは、拝殿の後ろに建てられている神様を祀る建物です。
内部には神体(鏡、剣、珠など)がおさめられて、内陣と外陣に分かれている場合は内陣に神体が納められ、外陣は献饌・奉幣の場として使用されます。
今回は数多い本殿の中から3つ有名なものをご紹介します。
神明造り
最古の神社建築様式の一つ。
天照大御神をお祀りする神社でよく用いられる様式で、神宮(伊勢神宮)、仁科神明宮、籠神社が有名です。
高床式倉庫から発展したと考えられています。
大社造り
最古の神社建築様式の一つ。
神明造が奥行きより幅が大きい長方形で、高床式倉庫から発展し穀物の代わりに神宝を納めるように変化したものと考えられています。
大国主命をお祀りする出雲大社が代表例です。
住吉造り
神明造りや大社造りと並び、最古の神社建築様式の一つ。
屋根は切妻造でそりがなく、妻入りなのが特徴的です
大阪の住吉大社の本殿がその代表的建築で、
鳥居のデザイン
鳥居は聖域の入り口を示す。いわば、門のようなものです。
鳥居を立てる風習は、神社の建物がつくられるようになる前から存在したとされています。
その種類は千差万別で素材を見ても石製、木製、鉄製などありさらに朱、素材の色を活かした鳥居など本当に様々あります。
その中でも今回は特徴的なものを3つ紹介します。
三輪鳥居
三輪鳥居は三ツ鳥居とも呼ばれ、明神鳥居が3つくっついている特徴的な形をしています。
代表的な大神神社(おおみわじんじゃ)ですが、見ることが出来ません。
大神神社の摂社である檜原神社ではこの鳥居を見ることが出来ます。
両部鳥居
四脚鳥居、稚児柱鳥居、権現鳥居、枠指鳥居など様々な呼び名がある鳥居です。
両部とは密教の金胎両部(金剛・胎蔵)をいい、神仏習合を示す名残言われています。
それ故、神仏混淆の神社に多く見られます。
代表的な神社は弁財天とも言われる市寸島比売命をお祀りする厳島神社です。
山王鳥居
山王鳥居の特徴は明神鳥居の上部に三角形の屋根が乗ったような形をしていて、仏教の胎臓界・金剛界と神道の合一を表してるとされています。
山王の呼び名は、比叡山延暦寺の鎮守日吉大社が大陸の天台宗本山の山王元弼真君にちなんで山王権現と称したことに由来しています。なので、日吉系、日枝系の神社のみに見られるデザインです。
門や鳥居のまっすぐ先に本殿がない理由
神社の門や鳥居から本殿を見るとやや一直線からズレていることがあります。
ズレていいる理由は帰り際に神様にお尻を向けないためだと言われています。
日本の神様は穢を嫌いますからお尻を向けることもあまりよくないのでしょう。
神職さんを見ていますと絶対に神様に向かってお尻を向けないように気を払われております。
神社は未完成のものが多い?
日本には古来から『完成してしまえば後は朽ちていく』と考えられてきました。
完成させない事によって永遠に続くようにと願われたのです。
神社の飾りを一つ裏返してあったり、傘をわざと忘れたふりをして置きっぱなしにしているというように神社では様々な形の未完成があります。
有名な例を上げますと神宮(伊勢神宮)での式年遷宮はそれにあたります。
20年に一度、社殿の位置を変えて神様も新しい社殿にうつられます。
このように常に作りかけ、未完成な状態を保つことで神様、神社が永久に反映するように願われています。
神社の心から見るデザイン
神社の心というと大それたテーマにはなりますが・・・
神社に参拝したすると新鮮な気持ちや清々しい気持ちになったりします。
この気持の動きはどうやって作られているのか?
『神社の始まり』『参拝作法』から見ていきます。
神社の始まり
神社に参拝した時のイメージとはどんなイメージでしょうか?
鳥居をくぐり、神域に入ると自然豊かな参道、参道を歩いていくと手水社がありそこで手と口をすすいで境内に入ってお参りをする。
鳥居と言っても伏見稲荷の千本鳥居のような無数に続く鳥居をイメージされるかもしれませんし、一つしかない鳥居をくぐるイメージをされる方もいらっしゃるでしょう。
色々なイメージの神社がございますが、元々神社は拝殿・社殿がありませんでした。
四方に榊を立てて神聖な空間を作り、玉垣、注連縄を巡らせて祭場を作る。岩座やご神木を拝んだり、山や川自体を神様として信仰してきました。
それらが大陸との交流の中で拝殿・社殿が産まれます。
大陸から入ってきた最新の神殿に神様に来ていただくというおもてなしの心が見えてきます。
深くは書きませんが日本の神様は太陽が生きる上で重要であるが、日照りが続くと飢饉を起こすなどあるように人間にとって日本の神様はありがたくもあり恐ろしい存在でもあります。
出来る限りのおもてなしをすることで人間にとってよい方向に神様の力が向くように祈ったのでしょう。
神社とは神様の降臨される場であるので神様をもてなし神様の居やすい場所にする必要があります。
そのために古来の形式から現在の神社のスタイルに変わっていたのでしょう。
参拝作法
神社での作法というと手水舎で手と口をすすぎ、拝殿で二礼二拍手一礼でお参りをするというものが一番知られています。
参拝の作法は神様とコミュニケーションを取るための振る舞いとして受け継がれてきました。
その中でも一番ベターなものを一つご紹介します。
参道を進む作法
参道に入る前には鳥居があります。
鳥居を潜る前には一礼をします。どなたかのお家へ伺ったときに玄関で「おじゃまします」とご挨拶をすることと同じように、神様のお住いの玄関でも軽くご挨拶をするのはとても自然なことです。
鳥居を潜り参道に入りますがこの時は道の中央を空けて進みましょう。
道に中央は神様の道とされています。神様は目に見えませんので、ぶつかったりしたら大変です。
ここでも配慮するという気持ちが出ていますね
手水社の作法
神様は穢を嫌います。
穢を清めるために手水社の神聖な水で簡易的なみそぎを行います。
まず、柄杓を右手に持ち左手を洗う
次に、柄杓を左手に持ち替えて右手を洗う
再度、柄杓を右手に持ち替えて柄杓の水を左手で受けて口をすすぎ左手をもう一度洗う
最後に、柄杓を両手で持って柄杓に余った水で柄杓を洗いそっと柄杓を元あった場所に戻す。
以上が手水舎の作法です。
みそぎとは本来は綺麗な川、海、泉で体全体を水につけて清める事で古くは古事記にもみそぎが乗っています。
みそぎは体の汚れを洗い流し心も平穏に保つ為に行います。
こちらも神様が嫌う穢を寄せ付けないという事が目的で配慮するが感じられます。
拝殿の作法
拝殿でお参りする際には二礼二拍手一礼の作法でお参りします。
この二礼二拍手一礼にあたります。
古代日本では神・人を問わず貴いものに拍手をした魏志倭人伝に残っております。
元々は武器を持っていない事を表して敵意が無いことを示すという意味がありました。
神社から見る日本デザインの原点(まとめ)
今回、幾つかの例を上げながら様々な種類の神社があり、様々な作法に触れてきました。
神社参拝の中で実は気がついていないデザインに気がついて頂ければ幸いです。
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