プロ野球のセ・パ交流戦がスタートした。阪神から開幕前に電撃トレードで西武へ移籍、すでに4勝を挙げるなど新天地で見事に蘇った榎田大樹投手(31)は3日、メットライフドームで行われる阪神戦に先発することが濃厚になっている。戦力外通告される危機にあった榎田は、なぜ新天地で輝きを取り戻したのか。THEPAGEの独占インタビューでその真相に迫った。
西武のジャージに違和感がない。人懐こい笑顔で、ライオンズの榎田はインタビュー場所に設定されたメットライフドームの一室のテーブルに座った。トレード移籍してまだ3か月足らずだが、ブルペン捕手には、福岡大でバッテリーを組んでいた岳野竜也がいて、2軍コーチの赤田将吾も同郷の鹿児島県人。
「栗山(巧)さんに声をかけてもらったりして」。すっかりチームに溶け込んでいる。4月30日の楽天戦では本拠地のお立ち台にも上がった。現在、単身赴任中。8月には家族が関西から引っ越してくるという。
阪神での昨季登板は、すべて中継ぎで、わずか3試合(6回3分の1)。今季もキャンプから2軍スタートだったが、3月14日に岡本洋介とのトレードで西武へ移籍すると、ローテーに抜擢され4連勝を飾った。
プロ8年目の新天地で榎田の何がどう変わったのか?
ストレートに質問をぶつけると、少々、戸惑った顔。
「阪神時代と何も変わってないんです。ただ投げられる場所があるっていうだけなんです。プロ野球選手である以上、1軍で投げることが一番。今、投げる場所をいただいていることはありがたいことです」
何も変わっていない?
「もっとこうしたい、ああしたい、が芽生えて去年の秋からレベルアップというか、これが、もっとできたら1軍で勝負できるんじゃないか、ということに取り組み、今年1、2月のキャンプである程度、形を作っていたんです。でもオープン戦でチャンスがなく試す機会もなかった。そこでトレード。今、結果が出ています。環境が変わったから? と言われるんですが、僕自身は手ごたえがあったんです。先発チャンスさえあれば結果を出せるんじゃないか、と、ずっと思ってやっていました。その機会を西武ライオンズが与えてくれた。そのおかげで今ここにいるのかもしれません」
榎田は、さらっと、そう説明したが、とても重たい野球人生の機微に聞こえた。