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ユーロイタリア、ポピュリズムと極右が再び連立合意 ユーロ懐疑派外す組閣で再選挙回避へ
5月31日、イタリアの連立政権合意を受け、マッタレッラ大統領(写真右)は、法学教授のジュセッペ・コンテ氏(左)に改めて組閣を命じた。(2018年 ロイター/Italian Presidential Press Office/Handout via REUTERS)
イタリアの大衆迎合主義(ポピュリズム)政党「五つ星運動」と極右政党「同盟」が31日、連立政権樹立で再び合意した。これにより、総選挙から3カ月続いた政治空白が解消される見通し。ただ、両党が公約する歳出拡大計画に市場は警戒している。
両党は先週、法学者のジュセッペ・コンテ氏を首相に起用し、ユーロ懐疑派エコノミストのパオロ・サボーナ氏を経済相とする組閣案を提出。しかし、マッタレッラ大統領がサボーナ氏の指名を拒否したため、組閣は暗礁に乗り上げ、再選挙の可能性が出ていた。
その後の協議で、両党はサボーナ氏を経済相から外すことで合意。31日に連立政権の樹立で再び合意し、コンテ氏を首相に再指名したことを明らかにした。
合意を受け、マッタレッラ大統領に改めて組閣を命じられたコンテ氏は組閣案を提示。コンテ氏は大統領との会談後、記者団に「すべての国民生活の質を向上させる決意を持って取り組む」と述べた。
注目された経済相人事では、知名度の低い経済学者のジョバンニ・トリア氏を起用し、サボーナ氏は欧州担当相に指名。欧州担当相は経済相ほどの影響力はないが、欧州連合(EU)との交渉を担当することになる。
また、同盟のサルビーニ書記長が内相、五つ星運動のディ・マイオ党首は新たに創設された産業・労働担当相にそれぞれ就任し、2人とも副首相を兼務する。
外相には欧州担当相を務めたエンツォ・モアベロ・ミラネージ氏が就く。コンテ氏ら閣僚は6月1日に宣誓就任する。
新内閣に対する上下両院での信任投票は来週実施される。
連立合意により、市場は、ユーロ圏残留を巡る事実上の国民投票となり得た再選挙が回避されたことに安どした一方、イタリアの債務増加につながる新政権の大型歳出案を新たに懸念する可能性が高い。