【6月2日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は1日、米国の雇用統計を極秘情報として取り扱う慣例を破り、正式発表の1時間以上前に、好ましい数字が示されることをツイッター(Twitter)上でほのめかした。

 トランプ氏は「今朝8時30分(日本時間午後9時30分)に雇用統計を見るのが楽しみだ」と投稿。これを受け、多くの元当局者から非難の声が上がった。

 その後の発表によれば、急速な雇用拡大が続く中で失業率は3.8%に低下し、過去18年の最低を記録。アフリカ系米国人の失業率は、過去最低の5.9%に下がった。

 米国の雇用統計は世界中の投資家が取引材料として待ち受けており、機密として厳格に扱われ、正式発表前に表に出ることを防ぐため厳重な対策が取られている。当局者がその内容をほのめかすことは決してないが、ホワイトハウス(White House)には発表前日に報告される。

 市場では、米国債とドルに多少の値動きがあっただけでツイートへの大きな反応はみられなかったが、正式発表は好感された。その一方、トランプ氏の不注意は看過できないとの声が多く上がった。

 ローレンス・サマーズ(Lawrence Summers)元財務長官はツイッターに、「クリントン政権やオバマ政権で朝の雇用統計発表前に@POTUS(ホワイトハウスの大統領公式アカウント)や高官が何か言ったら、大スキャンダルになって、徹底的に捜査が行われていただろう」と投稿した。(c)AFP